山本×ツナ1

□年下の男の子
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―――ヒュゥゥゥゥ―――


すっかり日も短くなり、半袖では少し寒いかなと思い始めた中学3年生の2学期のはじめ。
相変わらず居残って補習プリントを終え、終わったプリントを届けに行った職員室では担当教諭に散々小言とイヤミを言われ。ようやく綱吉が解放されて校舎を出たときには、既に辺りが暗くなり始めていた。

「あれ、野球部まだやってんのかな?」

校庭で部活をしている運動部は片づけに入っているが、野球部だけはまだ残って練習を続けている。
いつものクセでつい山本の姿を探してしまったが、そういえばもう引退したんだっけと気付いて綱吉は苦笑した。

夏の大会で、山本達3年生は引退した。
ただ、面倒見が良く後輩からも慕われる山本は、今でもちょくちょく練習に参加しては後輩達の指導をしているらしい。

『そんでさ、すっげー見どころある1年がいてよー、アイツがいてくれれば次の試合も絶対いけると思うんだ』

昨日、屋上で弁当を食べながら山本が嬉しそうにそう語っていたのを思い出し、綱吉の顔が自然と綻んだ。新人の彼は次の秋の大会からレギュラーとして試合に出ると山本が言っていたから、きっとこの中にいるだろう。
どんな子かなと興味がわいて、綱吉は校門へ行くまでの道をわざわざ遠回りして野球部の練習スペース近くを通ることにした。
だが、バックネット裏にさしかかり、ちらちらと見てみるもののそれらしい子が見つからない。
今日はいないのかなぁ・・・と綱吉が諦めかけたそのとき。


――――ヒュッ  ・・・パシンッ


「―――――あ」


いた。


絶対、あの子だ。


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