山本×ツナ1
□君に触れたくて
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夏休みも残り少ない、8月13日。
山本の部活も店の手伝いもないお盆休みを利用して遊びに出掛けた綱吉と山本の2人は、ゲーセンやバッティングセンターなどで目いっぱい遊び、夜はランボやイーピンと共に綱吉の家で夕食をとった。
食べ終えた皿を片づけ、食後のお茶を配りながら、奈々が嬉しそうに綱吉に話しかける。
「よかったわね―、つっ君。やっと山本君と遊べて」
「・・・・・・うん」
「ふふ、この子ったら、なかなか山本君と遊べないって拗ねてたのよー」
「へ?マジっすか?」
「なっっ!!べっ、別に拗ねてないし!!・・・・・・ただ、さ、せっかくの夏休みなのに会えないのってちょっと寂しいっていうか・・・ほら、去年はみんなで花火したりとかして、色々楽しかったから・・・・・・」
頬を染め、恥ずかしそうにうつむきながら、綱吉はバツが悪そうに言い訳じみたことをぽそぽそ話した。
その可愛らしさに内心悶えた山本だが、さすがに奈々のいる前なので「そーいや去年は楽しかったよなー」などと、当たり障りのない相槌を打った。
「花火!?ランボさん花火するもんね!!」
「ああ、違うよランボ。去年の話してるだけだって」
「やだもんね――!!花火花火!!ランボさん花火するんだもんね―――!!」
うわあぁぁぁ!!と泣き出してテーブルの上で暴れる幼児は誰が宥めても止まらない。「あらあら困ったわねー」と奈々も困惑顔だ。
普段ならここでリボーンが1発ぶっ放して終了なのだが、何故か今日に限って姿が見えない。ビアンキもいないので、揃って何か用事でもあるのだろう。
「ねえ、せっかく山本君もいるんだし、つっ君達で花火付き合ってあげてくれない?」
「えぇ―――!?」
「お、楽しそうじゃん。やろーぜ、ツナ」
「や、山本・・・」
「あらー、ありがとう。でも、今から花火したら帰るの遅くなっちゃうわね・・・そうだ、山本君、ついでだからウチに泊まって行ったら?」
「え?いいんすか?」
「ち・・・ちょっと、母さん!?山本も・・・」
お友達が泊まりに来てくれるなんて嬉しいわ―、つっ君の部屋にお布団運んでおくわね、と、ウキウキと張り切り出した善意100%の母親を、もはや綱吉には止めることができなかった。
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