その他×ツナ 1

□兄貴分といっしょ
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またしても「あ〜〜〜、もうダメだ。かわいいぜ、ツナ!」と言ってがばりと抱きついたディーノさんにあわあわしていると、階段の下から母さんが「ツッくーん、電話よー」と呼んでいるのが聞こえた。

「電話?誰だろ。ディーノさん、ちょっとスイマセン」

ディーノさんに放してもらった俺はバタバタと階段を下りて、母さんに「山本君よ」と言われ、ビックリして子機を受け取る。
保留解除すると、電話ごしに聞き慣れた朗らかな声が聞こえてきた。

『よぅ、ツナ!今テレビ見てっか?』

「うん。見てた」

『あー、んじゃ電話することなかったか。今ツナがやってるゲームの攻略法やってるだろ?見逃してるかと思ってさ』

「えぇ!?ホントっ!?どこで!?」

ドドドド、と一気に階段を上がって、部屋のテレビのチャンネルを変える。
ディーノさんがぽかんとしていたけど、俺はテレビにかじりついた。あああ、ホントだ!見慣れたゲーム画面が出てる!!

「そう、ここ、この洞窟から進まないんだよ〜〜〜、あ、そっか、一度小屋に戻るのか。へぇ〜〜〜〜」

『ハハ、やっぱ電話して良かったな』

そのまましばらく、テレビを見ながら山本とゲームの話に花を咲かせた。
新作で話題のゲームはちょっと難しくて、最初っから躓いているんだと数日前にぼやいたことを、山本が覚えていてくれたことが嬉しかった。

ちなみに、俺も山本も、頭を使うゲームは苦手。
でも攻略本を読むのも面倒だから、ふたりでああだこうだ言って情報交換しながらゲームを進めるんだけど、それが結構面白い。
友達がいなくてひとりでプレイしていたときには知らなかった楽しみ方だ。


他愛のないことでケラケラ笑いながら山本と夢中で話をしていると、急に脇腹がむずったくなって「ふぁっ!?」っとおかしな声が出た。

『ツナ?どうした?』

「あっ、ううん、ゴメンなんでもないっ!!―――ディーノさんっ、なにするんですか!?」

「だってツナがかまってくんねーんだもん」

ふくれっ面で子供のように口を尖らせて存在を主張するディーノさんは大人げない。
再び俺を後ろからぎゅううう―――っと抱き締めてくすぐってきたのだ。さらにぐりぐりと首筋に鼻先を押し付ける。

だめだ、コレ、ものすごくくすぐったい。

「ちょちょっ・・・・んんっ!もう放してって・・・っ!」

「ヤだ。せっかくツナと一緒だってのに、目の前で他の男と楽しそうにしやがって」

くすぐったいやら恥ずかしいやらで俺はじたばたもがく。

「おしおきっ!」

「なんでそんな単語知ってるんですか―――!!??」

とにかく止めてくれないと、山本に変に思われちゃうじゃないか!

『――――もしかして、ディーノさん、まだツナん家にいんのか?』

「え?・・・あ、うん」

さすがにこっちのやりとりが聞こえたらしい。
急に山本が咎めるような硬い声を出してきたのでびっくりした。

『小僧は?一緒にいるんだよな?』

「えぇ、リボーン?えーっと・・・・」

そういえば夕食のあとから姿が見えない。きょろきょろした俺に、ディーノさんが晴れ晴れと笑う。

「リボーンなら出かけたぜ?結構ぼられたからなぁ〜。ひと晩帰ってこねーくらいじゃないとわりが合わねぇ」

『・・・・・・』

「?」

それって、ディーノさんが家に着くなりリボーンに渡していた、黒いアタッシュケースと関係があるのかな。
リアルなマフィアの裏取引現場に遭遇した俺は即座に見ない振りをしたから、取引内容まで知るわけがない。

そういえばリボーン、夕食後もディーノさんと何か話してたような・・・手を出すの出さないのって・・・あれってリボーンの外出と関係あったんだ、とひとり納得する。




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