その他×ツナ 2
□透明な君へ
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“―――代目っ!!”
あれ。
誰かの声がする。
“―― 一体どうしたんですか!?10代目っ!!”
がくがくと、肩を揺さぶられる。
“10代目っ!!”
指が二の腕に食い込んで、ちょっと痛い。
しかも耳元で怒鳴ってるからかなりうるさい。
今起きるよ。
起きるから・・・ちょっと・・・待って・・・・・・
「10代目っ!!」
―――パチ
「じゅ・・・・・・、10代目・・・・・・?」
「!?」
重い瞼を開けるなり、視界いっぱいに美しい青年の顔があって驚いた。
ただ、その整った顔はひどく青ざめていて、焦燥に駆られた表情は恐ろしく強張っていて硬い。
あまりの必死の形相にビックリして反射的に身を引いたら、ゴンっ!と勢いよく壁に後頭部をぶつけてしまった。
「って――――・・・」
「じゅ、10代目っ!!大丈夫ですか!?」
あわあわとうろたえるその人は、「申し訳ありませんでしたっ!驚かせてしまって!」と、土下座しそうなくらい猛烈な勢いで謝ってくる。
頭を下げると、艶やかな銀髪が顔に落ちる。知的に整った顔だち、高い鼻梁や肌の色からして外国人だと思うのだが・・・彼が話しているのは流暢な日本語だ。
言葉がどのくらい通じるか分からないけど、丁寧な敬語を使いこなしているし、悪い人ではなさそうに見える。
とりあえず必死に自分に謝ってくる彼には落ち着いてほしいと、慌てて口を開いた。
「あ、あのっ、オレは大丈夫ですからっ!」
ピタ、と怪訝な顔で止まった彼にほっとして、単刀直入に気になったことを聞いてみる。
「それより・・・、あの、・・・・・”10代目”って、オレのことですか?」
「・・・なッ!?」
それを聞くなりカッっと目を見張り、固まった。信じられないものを見るような顔をした彼の反応を見て、やはり初対面ではなさそうだと確信する。
しかし驚くばかりでその先を答えない彼に、もしかしたら日本語が通じてないんじゃと思い至り、今度はダイレクトに聞いてみた。
「・・・あなたは、オレのこと、知ってるんですか?」
「―――――っ!!!!」
数秒後、彼の悲痛な絶叫が広い広い空間に響き渡った。
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