その他×ツナ 2

□世界の終わりを知る者2
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普段なら人の気配を敏感に察知するのに、綱吉はよほど油断しているのか、一向に雲雀に気付く様子はない。

「ねえ」

ついにしびれを切らせて雲雀は綱吉へ声をかける。自分をまっすぐに見ない彼の横顔が、雲雀は好きではなかったから。

「!?」

びくりと大きく身体を揺らし、バッと振り向いた綱吉は目を見開いて、茫然と呟いた。

「ヒバリさん・・・」

驚きに固まった綱吉に少しだけ満足して、雲雀はさくさくと足元の草を踏みしめ、綱吉の正面まで歩いていく。
何か言おうと口を開きかけた彼を、雲雀は切れ長の黒曜石の瞳で静かに制した。

「・・・・・・・・・」

実際に日が経っているわけではないのに、随分と長い間、この姿の彼に会っていなかったような気がする。
雲雀はまず、栗色の柔らかな毛先から痩せて少し細くなった肢体、靴のつま先までを一瞥した。
以前よりくすんだ肌色、少し削げてシャープになった頬のラインに目を留めると、雲雀は形の良い眉を跳ね上げ、指を伸ばして白い顎をすくい取った。そうしてそのまま痩せた頬へするりと手を滑らせる。

「・・・っ!!」

くすぐったそうにぴくりと震えた綱吉の反応に、雲雀はかすかに口元を緩ませるが。
以前は少女のように柔らかだった頬の肉がすっかり薄く削げてしまった感触に、無性に不愉快な気分になった。

「――ぅ、わっ」

苛立ち紛れに、頬から耳を辿った右手で乱暴に後頭部を掴み、そのままぐっと自分の胸元へ押しつけた。
倒れ込んだ綱吉の身体を、ふわりと両腕で包みこむ。
両腕に抱いた綱吉の身体はやっぱり以前より痩せていて、ただでさえ華奢な身体が、今は本気で力を入れたら折れてしまいそうだ。

「ひ・・・・・・ヒバリさん?」

「気に入らないな」

「…は…?」

雲雀は不機嫌もあらわに、苛立ちを声にする。
状況についていけない綱吉は、疑問符を浮かべてされるがままだ。
綱吉が大人しくしているのをいいことに、雲雀は両腕に力を込めて、きゅっと細い体躯を抱き締めた。

力いっぱい。
壊してしまわないように、そっと。


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