へい がーる!

□13
1ページ/5ページ






「よーし、お前等! 朝から気合入れて行くぞ!」

「うぃーす」

「はい!」

「……ところで、風舞はどうした?」

「遅刻っすねェ」

え? 私の存在一切シカト?




 新手のいじめを受けました。






  13:働け女子高生!






「はーい、1年3組風舞紅、元気でーす。出席してますよー」

「何だ、いたのか。鬼公の後ろにいたから見えなかった」

てめぇ

「俺のせいかよ。お前が小さいのが悪いンだろ?」




 いーや私は悪くない。全然悪くないぞ。そう思いながら、私はべっと舌を出した。


 土曜日の朝。私は頑張って早起きして、早めにバイトに行った。

 なのでもちろん、遅刻はしていない。

 怒られる事など何もしていない。

 なのに皆がいじめるのだ。


 ま、まさかコレが一種のハブりって事ですか!?

 会社内いじめと同じ感じですか!?

 そ、そんな馬鹿な……。





嘘ついてんじゃねぇ10秒遅刻だ

10秒すら許してくれないとか鬼畜




 黒田さんが呆れた顔でツッコむ。

 ひ、酷い! 10秒くらい許してくれたって良いじゃないか!


 そう、私がさっき言った事はほとんど嘘



 早起きなんてしていない。バリバリ寝坊であった。
 
 早めにバイトになんて行ってない。バリバリ遅刻寸前だった。

 でも、でも全力疾走だったもん! 私何も悪い事してない!





「じゃあ全く反省して無いようなので紅は倉庫掃除なー」

ごめんなさいごめんなさい! めっちゃ反省しているので倉庫だけはああぁぁぁぁ!」

「俺は男に二言はないと思っている奴なんでな。綺麗になってなかったら給料引くぞ」

このまっくろくろべえ

適当なツッコミだな




 だってどうツッコんで良いか分からなかったんだもん。

 私はがっくりと肩を落とした。


 そんな私に黒田さんはあっさり箒と塵取り、はたきを渡す。

 残酷な人間だね、あんた。本当に店主かよ。



 ――どうしてこんなに嫌がっているのかというと。


 倉庫は通称、開かずの未知空間という名で知れ渡っている。

 ここ何年も開けてないその倉庫は、実態がどういうものか誰もわからない。

 もちろん店主である黒田さんも。

 だからこそ、恐怖に包まれし倉庫の掃除などしたくはないのだ。




「でもまぁ……女1人じゃ大変か。鬼公、お前もやれ」

何か巻き込まれた

「黒田さん分かってらっしゃる」





 アニキが物凄い嫌な顔で私を睨んだ。

 黒田さん、さすがだね!

 そうだ、私はか弱い乙女なんだから。1人じゃ無理に決まってるもんね。




「男だったら俺じゃなくて小早川とか奴さんもいるじゃねェか」

「ちょっと! 元親君、僕の方が先輩なんだからさんとかつけてよね!」

「小早川と一緒にいたって倉庫が綺麗になる訳じゃないだろ。俺が見てねーと鍋作り出すからなコイツ」

「く、黒田さん僕の扱い酷くないですか!?」

「いつも通りです」

「酷いよぉ〜!」



 また拗ねだした小早川さん。この天海もいつも通りです。

 間違えた、展開。





「とりあえず倉庫が綺麗になるように掃除してくれよ」

「給料あげてください」

「ボーナスください」

「意味一緒だろうがこのやろう。良いから働け!」

「はい」



 黒田さんもう少し従業員に優しくしてください。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ