へい がーる!
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「よーし、お前等! 朝から気合入れて行くぞ!」
「うぃーす」
「はい!」
「……ところで、風舞はどうした?」
「遅刻っすねェ」
「え? 私の存在一切シカト?」
新手のいじめを受けました。
13:働け女子高生!
「はーい、1年3組風舞紅、元気でーす。出席してますよー」
「何だ、いたのか。鬼公の後ろにいたから見えなかった」
「てめぇ」
「俺のせいかよ。お前が小さいのが悪いンだろ?」
いーや私は悪くない。全然悪くないぞ。そう思いながら、私はべっと舌を出した。
土曜日の朝。私は頑張って早起きして、早めにバイトに行った。
なのでもちろん、遅刻はしていない。
怒られる事など何もしていない。
なのに皆がいじめるのだ。
ま、まさかコレが一種のハブりって事ですか!?
会社内いじめと同じ感じですか!?
そ、そんな馬鹿な……。
「嘘ついてんじゃねぇ10秒遅刻だ」
「10秒すら許してくれないとか鬼畜」
黒田さんが呆れた顔でツッコむ。
ひ、酷い! 10秒くらい許してくれたって良いじゃないか!
そう、私がさっき言った事はほとんど嘘。
早起きなんてしていない。バリバリ寝坊であった。
早めにバイトになんて行ってない。バリバリ遅刻寸前だった。
でも、でも全力疾走だったもん! 私何も悪い事してない!
「じゃあ全く反省して無いようなので紅は倉庫掃除なー」
「ごめんなさいごめんなさい! めっちゃ反省しているので倉庫だけはああぁぁぁぁ!」
「俺は男に二言はないと思っている奴なんでな。綺麗になってなかったら給料引くぞ」
「このまっくろくろべえ」
「適当なツッコミだな」
だってどうツッコんで良いか分からなかったんだもん。
私はがっくりと肩を落とした。
そんな私に黒田さんはあっさり箒と塵取り、はたきを渡す。
残酷な人間だね、あんた。本当に店主かよ。
――どうしてこんなに嫌がっているのかというと。
倉庫は通称、開かずの未知空間という名で知れ渡っている。
ここ何年も開けてないその倉庫は、実態がどういうものか誰もわからない。
もちろん店主である黒田さんも。
だからこそ、恐怖に包まれし倉庫の掃除などしたくはないのだ。
「でもまぁ……女1人じゃ大変か。鬼公、お前もやれ」
「何か巻き込まれた」
「黒田さん分かってらっしゃる」
アニキが物凄い嫌な顔で私を睨んだ。
黒田さん、さすがだね!
そうだ、私はか弱い乙女なんだから。1人じゃ無理に決まってるもんね。
「男だったら俺じゃなくて小早川とか奴さんもいるじゃねェか」
「ちょっと! 元親君、僕の方が先輩なんだからさんとかつけてよね!」
「小早川と一緒にいたって倉庫が綺麗になる訳じゃないだろ。俺が見てねーと鍋作り出すからなコイツ」
「く、黒田さん僕の扱い酷くないですか!?」
「いつも通りです」
「酷いよぉ〜!」
また拗ねだした小早川さん。この天海もいつも通りです。
間違えた、展開。
「とりあえず倉庫が綺麗になるように掃除してくれよ」
「給料あげてください」
「ボーナスください」
「意味一緒だろうがこのやろう。良いから働け!」
「はい」
黒田さんもう少し従業員に優しくしてください。