へい がーる!

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「かっとばせー! ほら! そこ、いけー!」

「うおおぉぉ燃えるあああぁぁ!」


「……何やってんの」


「「球技大会の練習」」

「……え、いつ?」

「「明日」」

そろそろいい加減にして欲しいんだけど




 急な連絡は禁止です。





  08:ドッチボール





《皆さんおはようございます。今日は球技大会です。各クラス、正々堂々と戦う事。

よろしくお願いします》



 よろしくお願いされたくないです。

 何て心の中で思いながら、私は上ジャージの袖から指を出した。


 校庭には沢山の生徒。その前には朝礼台に立って喋っている校長。

 そう、今日はめでたくない球技大会の日なのだ。

 ちなみに知ったのは昨日。


 しかも昨日誰がどの球技に参加するか決めたのだ。



 ……ごめん、本当片倉先生一回教師試験やり直してくれ。

 ちなみに私は男女混合のドッヂボール。

 かすがちゃんと真田君、徳川君、風魔君も同様にドッヂボールだ。

 ここの学校は男女混合らしい。



「ドッヂって確か校庭のまんまだよね?」

「確かな。移動しなくて良いから楽だ」



 かすがちゃん、しゃなりとした立ち姿でそんな言葉言わないでよ。
 
 君ならどんな所でも飛んでいけそうだからね。



「他の球技は何だったっけか?」

「確かバレーと卓球とバスケでござる。某が聞いたところ、佐助はバスケだそうだ」


「元親と慶次はバレーに行ったし……あとの強敵は?」

「……」

「なるほど、刑部と三成は卓球か。じゃあドッヂにいるのは政宗と毛利位か?」


 
 男子組は何やら作戦会議をしている。

 球技大会なのに真面目だね〜どうせ賞とかトロフィーとかしか貰えないのに。

 賞金とかねぇのかよ。



「あーぁ、早く終わんないかな」

「随分と不真面目だな」

「ちゃっちい行事はお断りなんだよね。体育祭とか文化祭なら良いけど」

「あぁ、それは分からなくはない」



 かすがちゃんも同意見みたいで安心した。

 うん、マラソン大会は消滅しろって感じだネ!



「ほれ男子、時間だからとりあえず行くよ〜」

「あ、ちょっと待ってくれ!今行く!」



 いまだに話し合っている男子達を呼ぶが、彼らは動こうとしなかった。

 ……まぁ試合はまだ私達のチームじゃないから良いけど。

 敵は観察しといたほうが良い。


 だけど男子達は見なくても良いみたい。



「じゃあ先行っちゃおうか、かすがちゃん」

「あぁ」



私はかすがちゃんと一緒に、ドッヂボールの試合がある場所へ行った。




  *



「あっ、神子!神子!我はここにいるぞ!よく見てるが良い、我の力ヘブウウゥゥゥンッ!

「おいコラアアァァァ!当たってんじゃねぇか馬鹿野郎!」



「……徳川君達と一緒に作戦会議してれば良かった」

「激しく同情する」

「じゃあ変わってくれるかな」

「それは嫌だ」



 じゃあお願いだから同情しないでください……。


 ドッヂボールの試合は、校庭のど真ん中で行われている。

 ちなみにボールなどが当たらないように、移動式のフェンスで回りに囲いを作っている。

 だからボールが当たることなく、試合が見れるのだ。


 周りには他にも沢山の生徒。

 多分、皆ドッヂボールの選手だ。

 私とかすがちゃんもドッヂボールの試合を見ようと、フェンスに近づいた。

 その時なのだ。


 何のセンサーが反応したのか、試合をしていた毛利君がいきなりこっちを見て手を振った。

 あ、そういえば一番最初は1組対5組だったっけ。


 でも毛利君は油断をしていた。

 そのため、思いっきり顔面でボールをキャッチ。

 もちろん同じチームだった伊達君はツッコむ。

 うん、あれは私でもツッコむわ。



「顔面だから今のは当たった事にはならない……やばいな」

「何でやばいの? ざまあみろじゃね?」
 
「そうじゃない……毛利に当てた奴の方だ。顔面に当たったから毛利はまだコートの中……。

ボールが毛利に来た途端、真っ先に狙われるのは顔面に当てた奴だ」



 やばいのかなそれ。私にはよく分からない。

 だって、ボールが百発百中当たるわけじゃないし。

 毛利君運動ダメそうだし。

 見た目だけだけどね。



「……お前本当に毛利の恐ろしさを分かってないな」

「え、そう? てかどこに恐ろしい要素が」

「見ておけ」



 かすがちゃんが私を顔を掴んでグインと前に向けた。

 痛い痛い。口がたこみたいになる。

 言われるがまま、私は試合をそのまま見る事にした。



「Hey! 次は俺が投げブフォッ」

「ここは我に任せろ」



 ぽーん、と上にあがったボールをキャッチしようとする伊達君。

 の、上に毛利君。

 毛利君は思いっきり肘を伊達君の頬にぶつけて、自分はボールをキャッチした。

 伊達君地面にめり込んでるんだけど。



「て、めぇ! 任せろじゃねぇそれやらせろだろ! つーか普通にくれって言え!」

「貴様に願いを乞うなど反吐が出る」

「それは俺を侮辱してんのかコラ」


 仲が悪いのだろうか、この2人。

 ていうか明らかだね。

 しかもよく生きてたな伊達君。



「ふふふ……神子の前で受けたこの屈辱は忘れぬぞ。さぁ我が日輪の力を受け止めよ!」

「……え、俺?」


 標的……もとい先ほど毛利君の顔面にボールを投げたらしい人が自分を指差す。

 顔が真っ青ですが。



どっせええぇぇぇぇいッ!

ヘブウウゥゥンンッ!




 毛利君の目がキュピーンと光ったかと思いきや。


 物凄いスピードでボールが投げられた。

 一瞬にして、標的になった人が吹っ飛ぶ。

 ……あれ、あの人どこまで飛んでいくのかな。

 見つめていれば、その人はキラーンと輝いて星になった。



「……私あんな人にストーカーされてんの?」

「今頃気づいたのか」




 いや、そんな要素全然見せてこなかったからさ。




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