へい がーる!

□02
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「おはようございまする風舞殿!」

「えっ、あ、うん。お、おはよう?」


 真田君の朝は、熱かった。





  02:出会いに感謝






 朝、教室に入って来た時の事。

 まだ結構早かったため、誰もいないかなぁと思っていた矢先。

 教室のドアを開けたら真田君がいた。


 そして、文頭の熱血な挨拶を受けたのである。

 あれ、昨日と随分印象が違うんだけれども……。




「さ、真田君早いね。いつ来たの?」

「ちょっと前でござる! 誰も来ぬから今日は休みかと心配していたのだが……良かった!」

「いや入学の次の日休みとか相当無いよ」




 自分の席に着きながら言えば、真田君は気付いたように「そうでござった!」と言った。

 天然、とかそういうタイプかなきっと。

 掴みやすい人だなぁ、真田君って。



「そういえば今日って確か係とか決めるんじゃなかったっけ」



 鞄の中身を机の中に入れながら言う。

 真田君は小さく頷いた。



「うむ。片倉先生はそう言っていた」

「そっか……係ってどんなのがあるんだろう。とりあえず学級委員は絶対だよね」

「後委員会でござるな。体育委員とか」

「それだけはやりたくないかも」




 昔1度だけ体育委員をやった事があるが、色々忙しかったためもうやりたくない。

 委員会じゃなくて、なるべくなら係が良いな。

 真田君もやった事があるみたいで、苦笑いしながら納得してくれた。




「学級委員とかはしないのでござるか?」

「したいとも思わないししたくないとも思わない。どっちでも良いや」



 真田君に聞かれ、曖昧に答える。

 学級委員は、誰もやりたくないって時に立候補しようと思う。

 時間が長引くのだけはごめんだから。





「真田君は?」




 私が聞けば、真田君は少しきょとんとした。

 その後、少し考え込むように腕を組む。




「某は特に決めておらん。だがクラスの為になるような係をやりたい!」

「……役に立たない係は無いと思うけど、その心意気は凄いと思うよ。頑張って!」





 私の言葉に真田君は元気よく返事をした。

 まだ会ったばっかりだけど、凄い素直だし面白いし、変わった人だなって感じ。

 悪い印象を感じさせない人だ。


 話してて楽しいし。






「じゃあ学級委員を一緒にやらぬか!?」





 うん?


 大分話を戻しすぎたような気がして、固まる。

 あれ……今一緒にって言ったよね?





「私と? 真田君が? 一緒に学級委員やるって事?」

「うむ! クラスの為になる係! 共に精進しましょうぞ!」





 いやいやいや!

 それは結構まずいぞ!





「いや、もしかしたら他にやりたい人がいるかもしれないじゃん」

「じゃあいなかったら某と学級委員になってくれるのだな!」

「え、あ、うん。うん?」




 今のは許可してよかったのだろうか。

 もしいなかったら、私は学級委員をやる事になってしまう……。

 嫌な訳じゃないけれど、だいぶ私の行動時間が減ってしまうのだ。

 いやいやいや。





「ちょっと待って真田君、ちょっと考えても」




 私がそう言いかけた瞬間

 まるで私の言葉を遮るように、扉が開いた。


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