heretic
□聖域
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「うっわわわ、ごめんねあの」
「大丈夫ですかミズホさん?」
それまで黙って聞いていたアイスが心配そうに顔をのぞき込む。
見られるのも恥ずかしくて、尚更ミズホは俯いてしまう。
何も言わずにただ聞いていたリアルは、それを見てぽつりと呟いた。
「何、俺フラれたの?」
「は?」
「え?」
思いがけない台詞に皆が振り返る。
それを聞いたミズホは勢いよく顔を上げて否定した。
「ち、違うよ!!あの」
「うん、じゃあいいよ」
笑って、ぽんと目の前の頭を叩く。
された側はというと、さっきとは違う羞恥に頬を染めて俯いた。
「罪作りな男ねぇ」
誰にも聞こえないような声でアディアが呟く。
それでは期待させてしまうだろうに。
カガミの話によると、一日で出てくるようならそう時間もかからないらしく、二時間あればとりあえず物は出来上がるという。
二時間の辛抱ね。
苦笑しながら、アディアは心の中で呟いた。