ピピピ……
小さく鳴り出した電子音にピクリと反応する。
宇崎はうっすらと目を開け、ぼやける視界を数回擦る。
(目覚まし……止めなきゃ)
お手製の目覚ましは、宇崎が寝起きの良くない自分のために作ったものだ。
1度で起きなければそれなりの効果を発揮して自分を叩き起こすよう工夫を凝らしたため、次の段階へ行く前に止めなくてはならない。
宇崎は少しだけ焦りながら、薄暗い部屋の中で身体を反転させてベッドヘッドの時計を探す。
彷徨う指が2回ほどヘッドの板を叩いて、次にカタンと音を立てて固い感触に触れた。
宇崎はその感触に安堵して、パスワードを入力して目覚ましを止めた。
デジタルな文字盤に刻まれた時刻は、早朝、午前6時を示している。
(6時かぁ……、って、俺眠っちゃった!?)
ぼんやりと時計を眺めていて、宇崎は突然あることに気がついた。
慌てて上半身を起こして、布団をバサリと跳ね除ける。
ベッドから降りようと身体を先ほどとは逆の方向に向けると、同時に何かが身体に触れた。
瞬間、バランスを崩しそうになりながら、宇崎は慌てて体勢を立て直した。
程なくして触れたものの正体を確認すると、そこには静かに寝息を立てる男の姿があった。
「真矢、帰ってたんだ……」
宇崎はどこかホッとしたように、眠っているその男の名前を口にした。
真矢はDGの整備班副班長にして、宇崎の同室者で、世にいう恋人だ。
スースーと寝息を立てる真矢の顔には、流れるような琥珀色の髪がしっとりと絡んでいる。
その隙間から覗く瞳は固く閉じられていて、彼が深い眠りに就いていることを表している。
「いつ帰ってきたんだろう?全然気づかなかった」