復活

□セカンドライフ
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−−−−−時の流れというのは早いもので。
私がこの世界に生を受けた日から、早くも5年の月日が経とうとしていた。

姓を沢田。母は奈々。父は家光。
−−−ここまで言えばもうお分かりだろう。
そう、私はあの「リボーン」の世界に、しかも主人公「沢田綱吉」のポジションに転生してしまったのだ。

なぜ成り代わりかとわかったのかといえば、赤ん坊のころ、入院していた病院に、「山本武」も居たからだ。

前世では腐女子ではないものの、好きな漫画の夢小説などはよく読んでいたため、この事態にはすぐさま対応できたのだ。

子供らしくない私は、両親にはたいそう心配を掛けてしまったらしい。
だが、私はこの5年、何もしていなかったわけではない。

自覚してからのツナはすさまじいものがあった。

(なんとしても・・・叶えたい夢の為に。)

望みを叶えるためには、それなりの犠牲も必要であることを、−−は理解していた。

何もしなければ、14歳に成った段階っで原作が始まってしまう。
日常編はともかく、黒曜編以降はとてもではないが平穏とは言いがたい。

手遅れになる前に、
先手先手を打っておく必要があった。

だから、私は。




「準備は出来たのか、」
絢爛豪華な調度品。‘祖父’が私に、と用意してくれたというそれは、だが嫌味なく配置されており、その中でもひときわ異彩を放つ扉から現れた少年の言葉に、ツナはゆっくりと振り向いた。

夜を切り取ったような漆黒の髪に、燃えるような赤の瞳。原作で見たよりも遥かに幼いが、紛れもなくそれは。

「えぇ、・・・今行くわ」
ーーーーザンザス。

言葉とともに、椅子から腰を上げる。
立ち上がったその姿は、幼い体躯に似つかわしくない妖艶な雰囲気を纏い、そして。

「エスコート、してくださる・・・」
伸ばされた腕はか細く、すぐにでも折れてしまいそうな腕なのに、己よりも、そして、父であるボンゴレ9世よりも、強く・・・美しい炎を灯すのだ。

あの日、魅了された時から、自分の答えは決まっている。
少年は少女の前に膝をつき、白く、か細いその手の甲に、唇を落とした。

(ザンザス掌握。)
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