×南雲

□@
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今日薄桜商店街で夏祭りが催される日だ。

なので、今日は商店街がいつもより賑わっている。

もう日も傾いてきた。

これからが夏祭りの本番だ。



「どうして俺がこんな格好しなくちゃならない訳?」



南雲薫は、こんな日にもかかわらず、機嫌が悪そうにむすっとしていた。

そんな南雲の格好はというと…。



「とても似合っているぞ?」



南雲は、女物の綺麗な浴衣。

淡い藍色に桜の柄だ。

そんな南雲の姿を見て、風間は満足げに笑む。



「そんな事言われても嬉しくないよ…」



「ほら、早く祭りに行くぞ」



風間は南雲の言葉を無視して、南雲の手を引いて、商店街で催されている祭りへと向かった。



「人が多いからな、迷子になるなよ?」



南雲は、風間の言葉など耳に入っておらず、祭りの屋台に目を輝かせていた。

金魚掬い、焼きそば、たこ焼き、かき氷、様々な屋台が並んでいる。

その中でも、南雲が一際目を引かれていたのは…。



「あれが食べたいのか?」



それは、『りんご飴』の屋台だった。

真っ赤なりんごに、輝く飴がコーティングされているそのりんご飴に、南雲の心は奪われた。



「べ、別に食べたくなんか…///」



しかし、南雲は素直ではない。

風間はそんな南雲の性格を良く知っている。



「ほう…では、先に行くか」



と、南雲の手を引いて、先に進もうとする。

だが、南雲はりんご飴の屋台の前で、立ち止まったまま動こうとしない。



「どうした?」



風間は意地悪く南雲に訊ねる。

南雲の反応を楽しんでいるのだ。

南雲は一度食べたくないと言ってしまったため、引っ込みがつかなくなっていた。



「口で言わないと分からないぞ?ほら、言ってみろ…」



風間は南雲の顎を持ち、上を向かせる。

南雲の顔は真っ赤になっていた。



「食べ……たい…///」



「上出来だ」



風間は南雲の頭を撫でると、りんご飴を買いに行った。



(全く…。本当性格悪いな///)



「あれ、薫?」
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