×南雲
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今日薄桜商店街で夏祭りが催される日だ。
なので、今日は商店街がいつもより賑わっている。
もう日も傾いてきた。
これからが夏祭りの本番だ。
「どうして俺がこんな格好しなくちゃならない訳?」
南雲薫は、こんな日にもかかわらず、機嫌が悪そうにむすっとしていた。
そんな南雲の格好はというと…。
「とても似合っているぞ?」
南雲は、女物の綺麗な浴衣。
淡い藍色に桜の柄だ。
そんな南雲の姿を見て、風間は満足げに笑む。
「そんな事言われても嬉しくないよ…」
「ほら、早く祭りに行くぞ」
風間は南雲の言葉を無視して、南雲の手を引いて、商店街で催されている祭りへと向かった。
「人が多いからな、迷子になるなよ?」
南雲は、風間の言葉など耳に入っておらず、祭りの屋台に目を輝かせていた。
金魚掬い、焼きそば、たこ焼き、かき氷、様々な屋台が並んでいる。
その中でも、南雲が一際目を引かれていたのは…。
「あれが食べたいのか?」
それは、『りんご飴』の屋台だった。
真っ赤なりんごに、輝く飴がコーティングされているそのりんご飴に、南雲の心は奪われた。
「べ、別に食べたくなんか…///」
しかし、南雲は素直ではない。
風間はそんな南雲の性格を良く知っている。
「ほう…では、先に行くか」
と、南雲の手を引いて、先に進もうとする。
だが、南雲はりんご飴の屋台の前で、立ち止まったまま動こうとしない。
「どうした?」
風間は意地悪く南雲に訊ねる。
南雲の反応を楽しんでいるのだ。
南雲は一度食べたくないと言ってしまったため、引っ込みがつかなくなっていた。
「口で言わないと分からないぞ?ほら、言ってみろ…」
風間は南雲の顎を持ち、上を向かせる。
南雲の顔は真っ赤になっていた。
「食べ……たい…///」
「上出来だ」
風間は南雲の頭を撫でると、りんご飴を買いに行った。
(全く…。本当性格悪いな///)
「あれ、薫?」