その他短編

□貴方へ。
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その日は、初雪だった。


私立アッシュフォード学園。オープンな校風が特徴的な、第5皇妃マリアンヌ陛下の後ろ盾であったアッシュフォード家が設立した学園。
その、高等部の生徒会。


「何なんだ、まったく」
ルルーシュが生徒会の仕事をしようと生徒会室に入ろうとした途端、会長に「ダメ!今日はルルーシュ生徒会室に立ち入り禁止!」と言われたのだ。
「また何か会長はくだらないイベントを企画しているのか?」
それに、今日ルルーシュは気になることがあった。ナナリーの様子がどこか変なのだ。
何か自分に隠し事をしているような。
生徒会長―ミレイに、何か変なことを吹き込まれていなければいいのだが。
「おはよう、ルルーシュ」
「おはよう、スザク」
教室に入ってきた、茶色のくせっ毛に碧の目の少年―スザクが、ルルーシュに声をかけた。
「なあスザク」
「何?」
スザクなら、何か分かるかもしれない。ナナリーのこともだ。
「また何か会長がイベントを計画しているとか、そういった話は聞かなかったか?」
「えっ?」
スザクは不思議そうにルルーシュを見た。
「…何だ?俺の顔に何か?」
「…」
スザクは黙って何かを考えている。
「おい、スザク」
「…」
「スザクったら!」
「うわっ、何?」
「何じゃないだろう、どうしたんだ、スザク」
スザクは自分が考え事をしていたことにようやく気づいたのか、照れたように笑って「ごめんごめん」と謝った。
「今日は生徒会室は立ち入り禁止だと思うな」
「ああ、そうだ。入ろうとしたらいきなり会長が入るな、と。何か心当たり、本当にないのか?」
「うーん、ごめん。無いや」
「…そうか」
その時丁度、予鈴が鳴る。急いで、生徒会メンバーたちが教室に駆け込んできた。
「あ、そうだ。ルルーシュ、今日は絶対放課後に用事入れちゃダメ」
「…?分かった」
今日は黒の騎士団で扇やディートハルトと作戦会議をしようと思ったが、別に今じゃなくてもいいか、とルルーシュは思った。


そして、今日の授業が終わるまで、生徒会メンバーの様子が何かおかしく、スザクはそれを笑って見ているだけだった。
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