魔王と死神

□STAGE0 〜転生〜
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「ああ・・・俺は・・・世界を、壊し・・・世界を、造る―――」
「・・・っ、お兄様っ!嫌、目を開けてください!お兄様っ!お兄様ああっ!!」
ナナリーは動かなくなった兄、ルルーシュに何度も何度も呼びかけるが、その閉じられたアメジストの瞳は、もう2度と開かれることは無かった。
「ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!」
周りでは悪逆皇帝ルルーシュを討った正義の味方として、パレード会場一杯にゼロコールが響いていた。
そのゼロは今も、先ほどまでルルーシュがいた車の上に立っている。

「ずるいです・・・私は、お兄様だけで良かったのに・・・お兄様がいない明日なんて・・・そんなの・・・」
ナナリーはルルーシュの胸にすがりつき、泣きくずれていた。
そう、彼女が望んだものは1つ・・・彼女の最愛の兄、ルルーシュと一緒にいること・・・それだけだったのだから。

パレードの車の列が後退していく。
しかし、ナナリーはルルーシュにすがりついたまま、離れようとはしなかった。

この悪逆皇帝ルルーシュの暗殺は、それこそがそもそもルルーシュが計画した「ゼロレクイエム」だった。
世界の憎しみを自らに集め、その憎しみの対象の自分が死ぬことによって、悲しみの連鎖を断ち切るという、壮大な計画。
そして今、その計画はルルーシュの死で達成されようとしていた。

―しかし、彼、ルルーシュは、自分の意思とは別に、別の場所で新しいことに関わることになる。
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