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□Happy New Year
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「はぁ…今年も残すところあと少しね。」

アイリスが公園のベンチに座り夜空を見上げる。

寒さで白い息が出る。

「そうだね、今年は色々とあってね。」

デントがにっこりと笑い、寒そうにしているアイリスに

「寒い?」と聞き、ふるふると首を振り「だいじょうぶ。」と言う。

首に巻いているマフラーに顔を埋める。

寒いのが嫌なのか、いつも肩にいるキバゴも

今日はアイリスの髪の毛に隠れている。

「そうね…今年は去年より大変だったわ。」

「はは…でも、前の年よりも楽しかったよ。」

「まぁ…色々体験して、見たことのない世界を見れた感じだもんね!!」

ポケモンと間違われ、モンスターボールを投げられた。

それが、アイリスとサトシの出会い。

「ふふ…そうだね、バトルもたくさん見れて、たくさんのポケモンと出会えた。」

サンヨウジムに挑みに来たトレーナー。

まさかのジムリーダー3人とバトルをしてバッチを受け取るトレーナーなんて初めてだった。

それが、デントとサトシの出会い。

「そういえば、サトシは?」

いつも一緒にいるはずなのに姿が見えない。

「あぁ…何か、眠くなってきたから部屋で寝てるよ。

カウントダウンに備えているみたいだよ。」

今頃、ベットで相棒のピカチュウと一緒に眠っているのだろう。

気持ち良さそうに眠っている様子が浮かび思わず笑みがこぼれる。

「はぁ…ホント子供ねぇ…」

「まあまあ、サトシも疲れているんだよ。」

「そりゃ疲れるわね、朝っぱらからポケモン達と雪合戦してたんだから。」

「……は、はは…」

今度は流石にフォローを入れることが出来なかったのか

デントの苦笑いが零れる。

「とりあえず…カウントダウンが始まる前に起こしに行こう。」

「まぁ、仕方がないわね。」

手の掛かる弟を見るような優しい姉の眼差しでアイリスは言う。

でも、何だかんだと言いながらもアイリスもサトシのことは嫌っていない。

むしろサトシを嫌う人間がいるのだろうか?

あの、ポケモン達と一生懸命に向き合い

バトルを楽しみ、人との関わりを楽しむサトシ。

何事にも前向きで、諦めず、ポケモンを信じ

ただただ真っ直ぐと夢へ向かって歩き出す小さな子供。

そんなサトシを嫌う人なんていないだろう。

突拍子もない方法でバトルをする。

それに応えようとするポケモン達の姿を

誰よりも近くで見てきた。

だから分かるのだ。



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