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□好きなのは、ただ一つ
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「ねぇねぇサトシー」
ある暖かなお昼時。
公園のベンチでデントの帰りを待っている二人。
今日は天気も良く、日差しも暖かいせいか
サトシはとても眠そうである。
サトシと一緒に居るピカチュウも膝の上でお昼寝の様子。
「んぁ?」
眠たそうに目を擦りながら欠伸をする。
「……。」
ジトーという効果音がつきそうなぐらい
アイリスはサトシをじっと見つめる。
流石のサトシも慌てて苦笑いで言い返す。
「ぇっと…どうしたんだ?」
「あのさ、サトシってどんな子がタイプ?」
「たいぷぅ??
あ、ポケモンのか?!!
だったらなー…炎系もいいよなっ
あ、水も捨てがたいなっ!!!!」
「ちっがーう!!!!!!!!」
バシンと、どこから取り出したのかハリセンで頭を叩かれる。
「いってぇぇぇ?!!!!!!!!!」
「だ か らっ
サトシの好きな人のタイプ!!!
ポケモンじゃなくて、人っ!!!!!!!」
涙目で叩かれた頭を擦るサトシ。
”人”という文字を強調させるアイリス。
「え、えぇ〜…人ぉ?
人にタイプも何もないだろう??
技使えないし……」
「そういうタイプじゃないって言ってるでしょう??」
ハリセンを構え持つアイリス。
アイリスの周りを包むオーラに冷や汗がタラリ…
「ちょ、ストップ!!アイリス、それ直してくれっ」
「え?それってなぁに??
あ、もしかしてこれのこと???」
可愛いらしく首を傾げるアイリス。
普段なら普通に受け流せるのだが
今は違う。
逆にそれが恐ろしい。
「ねぇ、正直に答えてよ。
誰にも言わないから!!!」
「………うぅ〜ん…
いきなり好きなタイプって言われもなぁ…
あ、シンジ??」
「……いやいやいや、シンジ??って疑問系にされても分からないわよ。
うん、というかシンジって誰??」
「へへ…俺のシンオウでのライバルで
滅茶苦茶バトルが強くてカッコいいんだぜ!!!」
「…へぇーで、性格は??」
少し驚いた。
私が心配しなくてもサトシには
ちゃんと好きな人っぽい人はいるってことに。
「あー…それが性格は『ふん、使えない』とか『ぬるい奴』とかが
口癖でさ、俺と顔を合わせると嫌そうな顔するんだ。」
「うんうんうん……って、はぁ??」
私は何とも間抜けな声が出てしまった。
多分、顔も間抜け面になっているだろう。