短編作成
□諦める
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ねぇ、岩ちゃん
俺は小学生のときから岩ちゃんに恋をしていたんだよ―
【 諦 め る 】
「いっわちゃーん!!!」
「うっせぇよボゲェ!!!クソ川っ!!!!」
「ただ呼んだだけじゃん?!!」
こんなやり取りも12年目ぐらいになる。
小学生のときに出会ってバレーに誘ってそれからはずっと一緒。
家族よりも一緒にいる時間は長いかもしれない。誰よりもお互いのことを理解しあっているし信頼しあっている(岩ちゃんは照れて言ってくれないが)
だけど「親友」「幼馴染み」「チームメイト」俺は岩ちゃんからそう言われるのが嫌いだった。岩ちゃんを嫌いという意味ではないんだけどね。
俺は小学5年ぐらいのときから岩ちゃんに片想いをしている――
これは実ることはないのは分かっている。
初恋は実らないとも言うけど俺の恋は始まってすらいないのだ。
だって俺たちは男同士であって岩ちゃんは俺の親友であり幼馴染みでありチームメイトなのだ。まずもって恋人などになったという報告を誰かにしたら引く以外の選択はないだろう。
「ねー岩ちゃーん」
「……んだよ」
ほら、結局岩ちゃんは俺に甘いんだ。何だかんだで折れてくれるんだ。
「ふふ、なーんでもないでーす」
「死ね」
「ひどっ?!!」
…こんな暴言吐きっぱなしの岩ちゃんだけど俺のことを一番に分かっている岩ちゃんが大好きだ。
だから離れたくないから、この思いは俺のなかだけでの秘密。
諦める
(本当は 諦めたくなんか ないよ)
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