短編作成

□君を想う
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もっともっと近くに

「おはよーサトシ」

「……おはよ」

朝、サトシは一番に学校に来ている。

僕もサトシに合わせて最近は早めに来るようになった。

短い挨拶を済ませて席に着く。

朝の教室は誰もいなくて僕とサトシだけの空間。

鞄の中に入っていた袋を見つけた。

これは昨日帰りにサトシに似合いそうだなっと思い

買ったネックレースだ。

硝子のような透き通ってる花の形をしている。

パッと見て、サトシに似合いそうだ。っと思った。

「はい、これ。」

「…………何、これ?」

「僕からのプレゼント。」

「…………。」

「開けてみてよ。」

コクンと頷き袋を開ける。

「……綺麗…」

「でしょ?」

それを見つめるサトシの瞳は

キラキラと輝いていて、こっちの方が綺麗だっと思った。

「……でも、いいのかよ?

高かっただろう?」

うん、まぁ…ざっと1万はしたかもな。

「僕が君に似合いそうだって思って

勝手に買ったんだから気にすることないよ」

そう言って、にっこりと笑う。

「…………ありがとう、」

小さな声でお礼を言う。

「付けてみてよ。」

そう言うと口をへの字に曲げたが

僕が「早く」と言うと渋々首に掛ける。

「…………」

「あーやっぱり似合ってる。

うん、買ってよかった。」

そう言うとサトシは早々とネックレースを外そうとする。

それを僕は止める。

「だーめ、付けててよ。」

「……いや、校則が…」

「そんなのは制服の中にしまえば気づかれないって。」

「………。」

「ね、ずっと付けててよ。」

「……わかった。」

小さく返事するとサトシは制服の下にネックレースをストンと入れる。

「ねぇねぇ」

「…なんだよ?」

「その間。」

「間?」

「どうにかならない?」

「……無理、」

「………。」

「…何だよ。」

「んー僕は君ともっと近づきたいんだよね」

「……、」

「サトシは嫌なの?」

「……はぁーわかった。

できるだけ、頑張る…」

顔を真っ赤にする。

僕がじっと見ているのに気づき

プイっと窓の外を向く。

その仕草が可愛らしくて僕は君を

もっと知りたいっと思った。


もっともっと近くに(君をもっと知りたい)
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