短編作成

□君を想う
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君に惹かれて

やっと、つまらない授業が一つ終った。

でも授業は後4時間。

下校までの道のりが長い。

(さて…っと)

僕は重たい腰を上げる。

そして、さっきの時間に気になった女子生徒の席に向かう。

「ねぇ、君。」

「……何?」

眉間に皺を寄せていかにも嫌そうな表情だ。

「名前は…?」

「………はぁ?」

うん、何だか最初の儚い感じとイメージが違う。

何だかこう…強気な感じだ。

「だから、名前。」

「…………そういう時って自分から名乗るもんだぜ?」

嗚呼、やっぱり第一印象とは違うな。

「ごめん、ごめん。僕の名前はシゲル。

一応この学校の生徒会に入ってるんだけどね。」

知らない?と聞くと辛そうな顔をした。

「……知らない、ずっと入院してたし。」

ポツリと呟いた声は消え入りそうだった。

嗚呼、自分は何て失礼なことを口走ったのだろうか

と後悔しても既に遅い。

「…ごめんね。」

「別に、謝ることじゃないよ。」

そう言って小さく微笑む。

「で、君の名前は?」

「…サトシ。」

あら、これはまた男らしい名前だな。

「あ、今男らしい名前って思っただろう?」

ピッと人差し指を僕の鼻先に当てる。

それから、にっこりと笑うから顔に熱が集まるのが分かる。

「あはは…顔赤いぞ。」

にやりっと笑う。

「…はは、君が初めてだよ。」

「ふんっ俺だって大人しいわけじゃないんだぜ?」

と得意気に笑う姿がとても可愛らしいと感じた。

「で、何で僕の心の中が読めたのかな?」

「んー…昔から言われてたからな。

大体俺の名前を言ったら皆、そんな顔するんだぜ?

でも、この名前は父さんが付けてくれた名前だからな…

別に馬鹿にされても、平気なんだよ。」

「……そう」

「でもさー何でシゲル君は俺なんかに話しかけたんだよ?」

顔がいいからモテると思うんだけど。と付け足す。

「まぁ…理由は色々っとありましてね…」

「何だ、それ。」

くすっと笑う。

「まぁ君に話しかけてみてよかったよ。」

「何でだよ?」

「んー?何か学校生活が楽しくなりそうだなって思ってさ。」

「………そうだな、俺もそう思ったよ。

シゲル君と一緒にいると楽しい。」

「…また、話しかけてもいいかな?」

「うん、勿論。」

「あ、後シゲル君じゃなくてシゲルでいいよ。」

「俺もサトシでいいから。ちゃんとか付けんなよ!!!」

ビシッと人差し指を向ける。

本当に勇ましい子。

でも何だか可愛らしい子だなって思った。



君に惹かれて(話しかけてみた。)



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