短編作成

□好きだから、ほっとけない。
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肩を震わせるサトシを優しく抱きしめる。

ビクンと身体が揺れるのが分かった。


誰が、君をこんな風にしたんだい?


サトシはぎゅっと僕の胸を掴む。

いつもの僕なら

『制服に皺がつく』とか文句言ってるだろうけど

今はそんなことは気にしない。



「…さっき、告白されたんだ…」


ポツリと呟いた言葉。

僕の頭は一瞬停止したような気がする。

サトシは話し出した。



数分前――


帰り支度をしていたサトシの前に

一人の男子生徒がやってきた。

その生徒は女子から大変人気のイケメンで

シゲルに劣らないそうだ。

だけど、性格が少し以上に問題で

付き合った子たちに暴力を振るっているという噂がある。

一瞬ビクッと反応してしまったが

そそくさと帰り支度を済ませ教室を出ようとした。

だが、

「ちょっと待ってよ。」

その生徒はサトシの腕を掴み強い力で引っ張る。

「…っな、何ですか?」

目を合わせないようにするサトシ。

「君、やっぱり可愛いね。

君の事が気に入っちゃったんだ。

俺と付き合おうよ。」

「…す、すみません…む、無理です」

震える口でそれだけ伝えたが

「いいじゃん、誰もいないんだろう?」

「…す、すみません…」

か細い声で言う。

「……今、誰も居ないからいいよね?」

「…へ?」

その瞬間

ドンっと突き飛ばされバランスを崩し床に倒れる。

「わ…っ」

馬乗りにされ、両手を上で一つにまとめられる。

「何を…」

するんですか。と言う前にブラウスのボタンを一つ外される。

「……っ」

驚きで目を見開く。

「……やめ…」

「…いいじゃん、俺が初めての相手でしょう?

少しは喜んでくれても。」

「い…や…、嫌だ…っ」

震える足で思いっきり男子生徒の腹を蹴った。

「…がはっ」

「…はぁ、はぁ…っ」

その隙に逃げようとしたが

やはり女子。

すぐに腕を捕まれてしまう。

「この…野郎っ!!!!」

頭に血が上った男子生徒はサトシの頬を殴った。

「…っ」

「いいから、大人しくしてろよっ!!!」

またも馬乗りになりサトシの両腕を強く握る。

「…っ痛」

「うるせぇ…!!!せっかく俺が相手してやるんだから

有り難く思えよっ!!!!!」

ぐいっとサトシの襟元を掴みあげる。

「…っ」

また殴られると思った瞬間

静かな廊下から誰かの足音が聞こえた。

「…ちっ

この次も俺を拒んだら痛い目に合うからな!!!」

それだけを言い残し男子生徒は立ち去った。

それからすぐにシゲルが入ってきたそうだ。





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