短編作成

□雨上がりの虹。
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「うっわ〜最悪…」

ふと、聞こえた声。

隣を見れば同じ学年のバッチをつけている男子生徒の姿があった。

(あれ…確かこの人って。)

見覚えのある顔だ。

誰かがよく話していたのを覚えている。

この学校ではかなり有名な人らしい。

(ぇっと…名前は〜確か”さとし”だったけ?)

やっと思い出した名前。

でも喋ったことのない人だからこっちからは声は掛けない。

見たところのこの人も傘を忘れているようだ。

「お前も傘忘れたのか?」

突然話しかけられ驚く。

「そうだよ。そう言う君も傘を忘れたようだね。」

「まぁ…忘れたというかカスミに貸したんだよな。」

そう言って笑う。

嗚呼、噂通りだ。

人当たりはいいし、優しい。

人のことになると自分よりも優先してしまう人だって話では聞いていた。

「なぁ、お前って…「シゲル。」…え?」

サトシは驚いた顔をしている。

「僕の名前はシゲルっていうんだ。」

「ぇ、あ〜…俺は、サ「サトシ」!!」

「違った?君は色んな意味で有名だからね。話は聞いていたよ。」

「そ、そういうシゲルだって!!!」

「僕?」

「シゲルだって有名じゃん。1年生で生徒会している奴なんてシゲルぐらいだって。」

「…なんだ君も知っていたのかい。」

「知ってたよ。だって女子が話してたし。シゲルは大人っぽくて成績優秀だって。」

「ふぅん…」

「それにカッコいいって。」

はぁ…またそれか。

結局のところ誰も僕の表の顔しか見ていない。

裏の僕がどんな人なのかも分からないで適当なことを言っている。

「でもさ、俺今日シゲルと話してみたらそうでもないなって思ったんだよな」

「…え?」

「確かにシゲルって成績優秀で何でも出来るイメージだけど今日だって傘忘れているし

たまにシゲルと擦れ違ったとき思ったんだけど

ちょっとした失敗でもかなり落ち込んだりしてさー。イメージと違っていた!!」

そう言って笑う。

「俺的には何でも出来る完璧な人よりもシゲルみたいな人がいいな。」

「……あはは、君って面白いね。」

そんな事を言ってくれる人は初めてだ。

そんな素直な感想を言ってくれる人に会ったのはこれが初めてだった。
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