短編作成

□落とし穴。
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「……お前の仲間は?」

「……あぁ喧嘩したんだ。」

「喧嘩?お前がか?珍しいな。」

「まぁ俺が悪いんだけどな。」

「………。」

「まぁ一人で頭冷やせるから好都合だよ。ほら先急いでたんだろう?俺はほっといて行けよ。」

俺は曖昧な笑みで笑う。

シンジにそんな顔を見せたくなく俯く。

「…ったく、ホントに使えないな。」

「え?」

上を向いたときにはシンジも穴の中にいた。

「は?何、シンジも落ちてるんだよ。」

「落ちてるんじゃない!!…ほら、捻った足見せてみろ。」

「…っ」

ぐいっと足を軽く掴まれただけなのに

足全体に凄い痛みが走る。

「腫れが酷いな。よっぽど強く捻ったようだな。」

「そうだな。」

「これじゃ座ってるだけでも痛いだろう。」

「別に?平気だけど。」

「…嘘吐くのも止めろ。さっき軽く掴んだだけで痛そうにしてだろう。」

「……う゛っ」

「足出せ。応急処置ぐらいしてやる。」

「…あぁ、サンキュー」

シンジの適切な応急手当。

数分後

「よし、コレでいいだろう。」

「おぉ凄いなシンジ!!」

「別に。さて、次は此処からどう上るか…だな。」

「…悪いな、シンジ。迷惑掛けっぱなしで。」

「…別に。ドダイトス、バトルスタンバイ。」

『ドダイ。』

「ドダイトス、俺とこいつを引っ張り上げてくれ。」

『ドダイ。』

シュルリとドダイトスのつるが伸びて俺の腰に巻きつく。

そして、ぐんっという浮遊感。

「おわっ!!」

目を瞑ったが一瞬だった。

ドダイトスは俺をゆっくりと地面におろした。

そしてまた落とし穴につるを伸ばしシンジを引き上げる。

シンジは無言でドダイトスをボールに戻しパンパンと服の汚れを払う。

「此処にいたらお前の仲間も探しに来るだろう。俺が出来るのは此処までだ。」

そう言うとシンジは俺に背を向け歩き出す。

「あ…ッシンジ!!」

「……。」

「あ、ありがとうなっ!!また会った時バトルしような!!!」

「…ふん。」

シンジは鼻で笑いそのまま振り向くことなく歩き出した。

それから数分後にタケシ、ヒカリがやって来た。

タケシにおんぶされポケモンセンターに戻りジョーイさんから手当てを受けた。

「サトシ、足大丈夫?」

「相当酷く捻ったようだな。だが、適切な応急手当だったとジョーイさんも褒めてたぞ。」

「そっか…あのさ、ヒカリ、タケシ。」

「「ん?」」

「さっきは怒鳴ってごめんな。」

「もう、気にしなくてもいいわよ。あたし達も悪かったし。」

「そうだな、サトシ。今日はゆっくり休め。」

「あぁ、そうさせてもらう。」

俺はタケシの肩を借り部屋まで戻る。

今度こそシンジには




負けないっ!!!!
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