短編作成

□落とし穴。
1ページ/2ページ

「はぁ〜困ったな…」

深い深い穴の中で俺は空を見上げ盛大な溜息を吐いた。

「あーあ…ポケモンもリュックも全部ポケモンセンターに置いてきちゃったし…」

独り言言うのもそろそろ寂しくなる。

俺は助けが来るまで一人で待っていないといけないのか。

こうなったのも数分前。

久々にシンジと出会いバトルをすることになった。

勿論シンジが圧勝で俺が負けた。

悔しくてついついヒカリやタケシに八つ当たりをしてしまった。

そして預けていたポケモン全てとリュックを持たず飛び出してしまった。

一人で歩いている途中にロケット団が掘った落とし穴に一人で落ちてしまい

挙句の果てに足を捻ってしまったのだ。

まぁ足を捻ってなくてもこんな深い落とし穴から一人で上がることは不可能。

結局のところ自分が悪いのだ。

「はぁ〜…ヒカリやタケシも悪い事したなー」

「……そこで何している。」

「(ビクンッ!!)うわ、ビックリしたー」

「お前は落とし穴に落ちるのが趣味なのか?」

「どんな趣味だよ。」

「……で、何をしている。」

「見て分かんないのかよ。落とし穴に落ちたんだよっ!!!」

「ふん、使えない奴だな。」

「悪かったな!!」

さっきのバトルのこともあり俺はイライラしていた。

さっさとシンジが通り過ぎることを願っていた。

なのに…

「何故、上がってこない。ポケモン使えば早いだろう。」

「…っポケモンセンターだよ!!!」

何で今日は

「リュックに縄は入っていないのか?」

「だーかーらっリュックも全て置いて来たんだって!!」

突っかかってくるんだろうか?

「ホント使えないな。」

「そう言うなら、さっさと行けよ。いつものシンジらしくな。」

ふんっと終いにはそっぽを向いてしまう。

「…はぁ」

シンジは溜息を吐きリュックから縄を取り出す。

「ほら、捕まれ。引き上げてやる。」

「………は?」

俺は意外なシンジの発言に間抜けな声を出してしまった。

「何だ、その間抜けな声は。俺だってな困ってる奴を見捨てるようなことはしない。」

「………そうか、でも気持ちだけでいいよ。」

「…何故だ?」

シンジは明らかに不機嫌そうに眉を寄せる。

「俺、足首思いっきり捻っててさ立てないんだよな。」

「…痛くないのか?」

「あぁ、大丈夫だよ。」

あははっと笑うが本当はもの凄く痛い。

座ってるだけでも足首がジンジンし熱を持っている。

「だから、シンジは先に行けよ。使えない奴に構ってる暇ないだろう?」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ