短編作成

□愛されし者の最後は
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俺は神に愛されすぎてしまった。

神は俺を手放したくない為に俺の全てを取り上げた。

神は逆らう度に大切なモノを一つ、また一つと取り上げるのだ。

仲間も、家族も、バトルも・・・・全てを取り上げるのだ。

見えない鎖で繋がられてしまった。


何処かのビルの屋上。

青空は永遠と何処までも続いている。

手を伸ばせば届きそうな場所に空は広がっている。

神は、最後の願いを言った。

俺は今からそれを実行するだけ。簡単な事。いつものように神の言う事を聞くだけだ。

風が吹き荒れ被っていた帽子が飛んでゆく。

でも俺は気にしない。

もう一度青く澄み渡った空を見つめる。

そして――

”自由になりたい。この空を自由に飛びたい”

と、呟いたのだ。

だけど、俺にはもう翼はない。

あると言えばボロボロになった醜い翼だけ。



「サトシっっっ!!!!!!」

屋上のドアが勢いよく開いた。

汗だくで、息が乱れ、呼吸も荒い。俺と同い年の少女。

「駄目、逝っちゃ駄目ぇぇぇ!!!!サトシの悩みを一緒に解決しましょう!?あたしも手伝うからっ!」

少女は必死な声で今にも泣きそうな表情で訴える。

俺は振り返り・・・・・

”ヒカリには――分からないだろうね。”

そう言うと微笑み、俺は逆さのまま落ちていった。

神の最後の願いは”愛した者の死。”だった。


神に愛された者の運命は決まっている。

次は誰が神に愛され死んでゆくのだろうか――?



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