短編作成

□いつか旅立つ我が子の為に
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「ママぁ・・・・」

夜遅く自分の部屋で縫い物をしていたハナコを呼ぶ弱弱しい声が後ろから聞こえた。
振り返ると眠そうな目をしているものの何処か不安そうな顔をしている我が子の姿。
ミシンを止めて我が子を抱きかかえるハナコ。

「どうかしたの?サトシ・・・」
「ぅん・・・・」
「怖い、夢でも見たの?」
「・・・・・・。」

どうやらそうらしい。
ぎゅうっと力を込める幼き手。微かにだが体が震えている。
そんな我が子の背中を優しく撫で落ち着かせようとした。

「よしよし・・・・大丈夫よ。」
「ママぁ・・・あのね、」
「うん?」
「僕、大きくなったらポケモンマスターになる。」
「まぁ、大きな夢ね!!ママは楽しみにしてるわね。」
「それでね・・・・ポケモンマスターになってママを幸せにしてあげる!!」

必死な瞳で自分を見つめる我が子。
そんな我が子が愛しく優しい笑みを見せサトシの額に自分の額を付ける。

「ええ。サトシならきっとなれるわ。ママ、ずぅーっと楽しみに待ってるわね。」

そう言うと太陽のようににっこり微笑む我が子。
そんな我が子が本当に愛しく思える。

眠くなったのか瞼が少しずつ下がって来ている。
ハナコは我が子をそのまま抱き部屋まで連れて行きベットに寝かせる。
サトシが眠ったことを確認しまた自室へ戻り縫い物を再開する。

「この子がいつか旅立つ時の為に服を作ってあげないとね・・・・・」



いつか旅立つ我が子の為に

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