長編作成

□You Loved The World
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「久しぶりだね、シゲル」
「そうだね、マサト」

電話の相手はホウエンにいるマサトだった。マサトは現在14歳。7年前とは違いポケモンを持てる年齢となり今はホウエンの若きジムリーダーとして挑戦者からのバトルを受けている。

「今日はどうしたの?」
「…サトシがホウエンにいるっていう情報が入ったんだ。」
「本当に?!サトシがホウエンにいるの?!!」
「まだ情報段階だけどね」

サトシと名前を出せば憧れを抱いている少年は目を輝かせた。
まだ情報段階だというのにこの喜びよう、やはりサトシはマサトにとって憧れの存在だということは今も昔も変わっていないことが分かる。

「それで近々そっちに行こうと思っているんだけど…」
「勿論いいよ!!他に誰が来るの?」
「ヒカリと…多分、タケシも」
「分かった!ママにも言っとくね」
「ありがとう……ねぇ、マサト」
「何?」

マサトはどう思っているのだろうか。
サトシが行方を眩ましている理由が僕にあるってことに…そしてマサトはまだサトシのことを仲間だと思っているのだろうか―

「マサトは…何でサトシを捜すのを手伝ってくれるんだい?」

一瞬きょとんとした表情をしたがすぐに笑顔で

「サトシは僕の憧れのトレーナーで…僕がトレーナーになったら真っ先にバトルをしてくれる約束だったんだ。

でも、やっぱり一番は…仲間だから。」

と言って笑った。



* * *

「シゲルー準備できた?」

ひょこっと顔を覗かせたのはヒカリだった。お気に入りの白のニット帽を被るのは昔から変わらず。

「あれ、タケシは?」
「タケシはね、用事ですでにホウエンにいるんだって。先に行っとくって言ってたわ」
「そっか…なら僕たちも行こうか」

研究所の裏にある広い庭でシゲルとヒカリはモンスターボールを取り出した。

「オニドリル、頼む!!」
「トゲキッスもお願い!!」

赤い閃光とともに出てきたのは鍛え信頼できる飛行タイプのポケモン。
7年間サトシを追うためにあちらこちらに飛んでもらっているため、今になってはホウエンぐらいまでなら1日で着くだろう。だが…

「でも、今回はゆっくりお願いね。さすがにコンテスト開けだからトゲキッスもきついわ」
「分かってるよ」

それぞれのポケモンの背に跨がり地面を蹴り飛び立った。

「今日は天気がいいわね!!」
『トゥース!!』

ヒカリの言葉に答えるようにトゲキッスは返事をする。普通に地上を歩くのも楽しいがこうやってポケモンの背に乗り空を飛ぶのは格別だ。

「それにしても…シゲルは疲れないのかしら……」

確かにサトシが姿を眩ましたのは自分も関わっているのは分かっているし罪悪感だって感じている。願うならまたサトシとバトルをしたり話をしたいとも思っている。

だがシゲルはどうだろうか。

サトシを必死に捜しているのは伝わるがそれだけで今を大切に生きていないように感じる。
ポケモンとこうやって空を飛ぶことに何も思っていないように感じるのだ。たとえ、サトシを見つけ、また元の関係に戻れたとしてもシゲルが倒れてしまわないかがヒカリは心配なのである。


(シゲルも……もっとポケモンと触れ合って…ちゃんとこの世界を生きてほしいな…)


昔のように―――






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