gift

□残された手紙
3ページ/6ページ

僕はふとサトシのリュックに目をやった。

そう言えばサトシが消える前にこんな事を話していた――

”デント!!”

そのときは、まだ元気に笑う君の姿。

”ん?どうしたんだい、サトシ。”

”あのさー明日リュック縫い直してくんない?”

へへーっと笑う彼はいつものように笑顔が眩しかった。

”いいよ。そろそろボロボロになってるしね。”

”サンキューデント。”

”その時はリュックの中身全部出すから隠したい物は隠していてね?”

”…あぁ、別に隠したものなんかないよ…むしろ見て欲しい物が入ってるから……”

「!!!!」

そうだ、確かに彼はそう言った。

あの時は意味が分からなかったけどもしかしたら

彼は

僕たちに

何かを




残しているのかもしれない――




僕はサトシのリュックの中身を躊躇なく全部出した。

その中身はサトシの大切な旅の道具と今までの思い出の写真やいっぱい入っていた。

その中に紛れてたのは

手紙の束だった――


きっとコレだ。

サトシが僕たちに残したのはこの手紙だ。

サトシの自筆で書かれている。

名前も住所も全て書いてある。

そうだよ、

サトシがいきなりリュックを直してなんて言うわけがない。

それにサトシが消えたのはサトシがリュックを直してと言って来た翌日で

その時はそんなことは出来る余裕なんてなかった。

今になって思い出した。

サトシの行動や言動がおかしかったことに。


サトシは全て自分で分かっていたんだ。

僕にリュックを直してと言って来たその前からも

自分が連れて行かれることに




気づいていたんだ――!!!!




だから僕にリュックのことを頼んだ。

きっと彼は信じていたんだ。

自分が連れて行かれた後に僕がリュックを直す約束をしたことを思い出すと。

信じていたから手紙が入ってるリュックごと僕に託したのに違いない―。

僕はアイリスを無理矢理呼び出して手紙の内容を読んだ。

そこには彼らしい言葉で書かれた”真実”が書かれていた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ