■ ノベルス ■
□恋愛オークション
3ページ/7ページ
他の商品も覗いてみるがどれも同じで、数少ない写真が貼られている商品も、本や鏡や木箱のオルゴールやおよそ恋愛に関係のない物ばかりだった。
(そもそも何故、恋愛が物として売られているんだ?)
男の疑問に関わらず、入札者の数はかなり多い。
値段の高い物では何万円するものもあるが、逆にそういう品こそ入札は多く、実際、落札された商品の終了価格はその凄まじさを物語っていた。
その異様な賑わいようは、男に祭にも似た高揚感を持たせた。
(サクラではないか?)
と勘繰りはしたが、この人数でのサクラは聞いたこともなかったかし、考えられなかった。
質問板を見るとやはり詳細な内容が尋ねられていたが、振込み方法、郵送の際の値段の推移うんぬんより、
「どんな恋愛なのか?」
に質問が集中していたことも男を驚かせた。
男は思う。
(オークションに出品するということは、もういらないのか、手元にあるとまずいのか、あるいは本当にお金がなくて売ったかだ。でも仮にも"恋愛"でそんなことがあるのだろうか?)
が、もう既に男は熱に当てられていて、期限と取引き条件と商品の内容を統計して、いつものオークションのように予算を組み始めていた。