■ ノベルス ■

□トナカイのいないサンタ
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「なんだい、サンタさん。僕は眠いんだよ」
くまは本当に寝そうに目をこすって言いました。
「ソリを曳いてくれる人を探しているんだ。お願いできないかな?」
「そうだなあ。でも、トナカイさんはどうしたんだい?」
「う―ん、言いにくいけど今ケンカしているんだ」
「珍しいこともあるもんだねえ。仲直りはしないのかい?」
そこでサンタは少しだまって、
「お近づきの印に」
と肩に背負った白い大きな袋から蜂蜜の入った瓶をだしてくまに渡しました。
くまは瓶の蓋を開けて蜂蜜をひとなめしてから頷いて、「ちょっとだけなら手伝ってもいいかな」と笑いました
サンタは持ってきた小さなそりに乗り、くまはソリを引っ張りました。
「しっかり掴まってくれよ」とくまは言いい、くまはもの凄い力で走りました。
それがあんまりにも凄いものだから、サンタはすぐふり落とされてしまいました。
「あいたたた。乱暴な運転だなぁ」
サンタはくまを諦めて、また足跡をたどっていきました。
今度は一番細長い足跡です。
出会ったのはオオカミでした。オオカミはえさをさがしているところでした。
「なんだいサンタさん。今日はおいしそうなトナカイと一緒じゃないのかい?」
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