■ ノベルス ■
□恋愛オークション
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ある町にオークション好きな独り身の男がいた。
その売買は既に趣味の領域を越えていて、給料は惜し気もなく、オークションに消えていっていた。
その日、男はいつものようにコンビニに昼飯を買いに行くため、マンションを後にした。
別にそのコンビニでなくても、近くにコンビニはあるのだが、男は結構歩かなければならないコンビニまで買いに行くのだった。
男は手頃な値段の弁当を選ぶとレジまで持っていった。
わざわざ混んでいる方のレジを選んで。
順番を待つ間、男は髪形を気にしつつ共通の話題となるような話題を頭の中で何度もプレゼンテーションを繰り返した。
やっときた順番。
迎えてくれる弾けるような笑顔。
顔見知り程度にはなっていた女性店員と、しばしの談笑を交わした男は傍目にも上機嫌になって店を出ていった。
男の片思いは、こうして続いていた。
男はマンションに帰ると、昼飯を食べながらパソコンを立ち上げた。
仕事でパソコンに触る余裕もなかった男としては久しぶりの起動となる。
弁当をあらかた食べ終える頃になって、ネット徘徊を一時中断して受信メールをチェックした。