■ ノベルス ■

□トナカイのいないサンタ
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ある冬の日のことでした。
サンタとトナカイはケンカをしました。
ケンカの始まりはほんのささいなこと。
けれど、二人はもうずっとしゃべろうとしません。
こんなことは初めてでした。
そのまま、クリスマスの日が近づいてきました。
クリスマスには世界中の子供たちにプレゼントを配らなければなりません。
でもトナカイとケンカしたままです。
サンタはだいぶ考えてから
「そうだ。ほかの人にお願いしてみよう」
と、トナカイに黙って森の中に入っていきました。



冬の森は寒くて、息を吐いたら煙みたいになります。
木や土はみんな雪で白くなっていて、歩くたびに、
ぎゅ、ぎゅっと靴が鳴りました。
雪の上にはたくさんの足跡がついていて、森の奥に続いています。
大きいのや小さいのや、丸いのや角ばったのや。
サンタは一番大きな足跡についていくことにしました。
しばらく歩くと木をくり抜いて作ったような大きな家の前につきました。
家の窓辺のカーテンから淡い光が漏れています。
サンタは家のドアを叩いてみました。
しばらくすると、パジャマ姿のくまがドアを開けて出てきました。
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