book.2

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清々しく、何処までもすんだ青が続く空。
遮る雲は一つもない。


昼休み。
マルコは屋上へと出て、ぼんやりと空を眺めていた。

――……確かあの日もこんな空だったよぃ。




* * *




それは、マルコがまだ中学2年のとき。

その頃から、何処か大人びたマルコは、その独特の雰囲気から女子に人気があった。
声をかけてくる子も沢山いたが、マルコには彼女も、ましてや友達と呼べる人さえいなかった。


その日は文句なしの晴天。
雲一つない空は、青く澄んでいた。
暖かな日差しにクラスメイト達は、流石中2といった様子で、こんな日は外で飯を食うと上手いだの、好きなアニメの空の雰囲気とにてるだのとはしゃいでいでいるのに対してマルコの気持ちは重く淀んでいた。



昨日、血の繋がりがある唯一の親戚であった叔父が死んだ。

一緒に飯を食べに行くと言って、近くの回転寿司屋に、叔父が運転する車で向っていた途中、信号無視のトラックが突っ込んできた。
叔父は即死だった。

身体の弱かった母は自分を産んだときに亡くなっている。
父は自分が6歳のときに事故死。一緒に遊園地に行く途中だった。


――また俺だけ生き残ってしまったよぃ……。

今まで何度も思ったことだった。
いつもみんな自分だけを残して逝ってしまう。
ついには、父親がわりだった叔父まで逝ってしまった。

――…もう……残されるのはやだよぃ………

マルコはこの日、みんなの後を追うことを決めていた。
帰り道に川があった。人通りも少ないため、そこなら多分助けられることは無いだろう。

そんなことを考えているうちに、授業は終わっていたようで、皆それぞれ帰りの支度をしていた。

マルコも鞄に荷物を積めると、そそくさと教室をあとにした。



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