book.2

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俺達は肩で息をしながら公園のベンチへと腰をおろした。

何処をどうやって走って来たか覚えてないが、とにかく走り続けてこの公園にたどり着いた。
周りでは幼稚園位であろう子供達が、ブランコや滑り台で遊んでいる。

ちらりと横にいるルフィを見たが、うつ向いていてどんな表情をしているかわからない。

ただ、沈黙だけが続く。

「あれ?エース、こんなとこでなにしてんだよぃ?」

聞き慣れた声に顔をあげると、マルコが驚いた顔をしてこちらを見ていた。

「お前こそなにしてんだ?」

確か家この辺じゃなかったよなぁ?と聞くと、あぁ、と頷き、今からそこのスーパーに夕飯買いに行くんだよぃ、とよく使い込んである様子の白い長財布をふってみせた。

「それで、エースは何して……」

ふと、俺の隣を見たマルコがうつ向いているルフィを見て固まっている。

「あぁ、こいつはな、」

「ルフィじゃないかよぃ!」

「え?あれっ?マルコ!!」

こんなとこでどうしたんだ、とか、久しぶりだな、とか、元気にしてたか?なんかを早口で言い合う二人の間で、突然の出来事にまったく、ついていけてないエースが、お互いに目を丸くしあっている二人をキョロキョロと交互に見た。

「え?何だ?二人とも知り合いか?」

エースがようやく発した声で、あぁ、悪い。と、すっかりエースの存在を忘れていたらしいルフィとマルコが苦笑いをした。

「ルフィは俺の命の恩人なんだよぃ」

「恩人…?」

「そんな大袈裟なもんじゃねーって」

「いや、恩人だよぃ」

わしゃわしゃとルフィの頭を撫でるマルコが、すごく優しい顔で笑う。

そんなマルコの様子に、マルコってあんな風にも笑うんだなぁ、とエースはぼんやりと思った。

「あ、で、お前らこんなところで何してんだよぃ?」

「あぁ……それは…」

さっきまで楽しそうに笑っていたルフィの表情が一瞬で曇る。

「トラファルガー達となんかあったか?」

うつむいて動かなくなったルフィの様子にマルコは、また彼奴らは…と小さくため息をはいた。

「ルフィ、これでちょっと飲み物買ってきてくれないかよぃ?」

ルフィの好きなのでいいからよぃ。と差し出した小銭を、わかった、と素直に受け取ると自販機のある方へ歩いていった。

暫く、何時もより小さく見えるルフィの背中を静に見つめていたマルコだったが、エースに向き直ると口を開いた。

「…何があったんだよぃ?」

珍しく真剣な表情のマルコに、本当にルフィのことを大切に思っているのだと言うことがひしひしと伝わってきて、マルコも何かを大切に思ったりするのだなぁと感心してしまった。
そんな自分に笑いそうになったエースだったが、今話していることを思い出して顔を引き締める。

「なんかな…隈の男と、赤髪の派手な男と言い争いになったんだ…」

「そう言うことかよぃ…」

マルコはまた小さくため息をはくと、頭の後ろを掻いた。

「なぁマルコ、彼奴は一体何者なんだ?」

ルフィとマルコの会話からして、知り合いであるのは確実だろう。
ただ、ちらっと見えた首の後ろにルフィと似たような、何かの紋様のようなものがあったことが引っ掛かっていた。
前に、それは何かとルフィに聞いたことがあったが、何となくはぐらかされてしまった。

「彼奴はルフィの仲間だよぃ」

あんな感じだが、本当は仲のいい三人なんだよぃ。と何処か遠くを見ながらマルコは今日何度目かのため息をはいた。

「仲間…?なんのだ?」

エースがそう言うと、マルコは驚いた様に目を丸くしてエースを見た。

「え?お前…知らないのかよぃ…?」

「え?」

いつの間にか人のいなくなった公園に、何処か不安を煽る様に冷たい風が吹き付ける。

「ルフィは、」



背中を冷たい汗がつたっていく








「ルフィはあの小さな祠の神様だよぃ」

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