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□!シャンクス誕生日!
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「ちょっとちょっとちょっと!なによ!これ!」

女部屋から出てきたナミは、目の前に広がる光景に声をあげた。

「おぉ!ナミ、おはよう」

「あぁ、うん、おはよう…っじゃないわよ!これは何って聞いてるの!!」

山のように積まれた大量の手紙を指差しながら、手紙の山の向こうからひょっこり現れたルフィにナミは声を荒げる。

「あぁ、シャンクスからだ!」

ルフィは嬉しそうにその手紙を寄越した人物の名前を言う。

「え…シャンクスってあの…?」

「それがよぉ、ナミ。俺も驚いたんだが、本当にあの赤髪海賊団のシャンクスで間違いないらしんだ。」

ウソップが、固まってしまっているナミに、手にしていた一枚の手紙を渡す。

「なんでそんな大物がうちのバカ船長なんかに…?」

受け取った手紙には、確かにシャンクスの名が書かれている。

ナミは内容を読み上げた。

「゙愛するルフィ、俺の船に遊びに来ないか?上手い肉も沢山用意してある。今日、3月9日にお前の船の近くに行く。来てくれるのを待っている。゙……なによこれ…」

「他の手紙も同じような内容ね。」

他の手紙にも目を通していたロビンが、船長さんはこんな大物も虜にしていたのね、っと苦笑している。

「で、ルフィはどうすんだ?」

サンジが、持っていた手紙をひらひらさせながら、タバコの煙を吐く。

サンジの問いにルフィがん?と首を傾げる。

「行くのかってことだよ。」

珍しく起きているゾロが手紙に書かれた名前を指差しながらルフィを見る。

「んー。シャンクスには会いたいけど、行かね。」

「え!行かないのか?うあ!!」

驚いた声を上げたチョッパーに何かが飛んできた。

「だ、大丈夫ですか!」

「なんだなんだ!攻撃か?!」

頭に何かが直撃し、ぐるぐると目を回すチョッパーにブルックと、フランキーが駆け寄る。

「これは……」

ブルックが飛んできたであろうものを拾い上げ、ルフィに渡した。

「トーンダイアル?」

カチャリと再生を押すと、懐かしい声が流れてきた。
『ルフィ。元気にしてるか?』

「シャンクスだ!!」

ルフィは懐かしむ様にトーンダイアルに耳を近づける。
クルー達もそっと耳を傾けた。

『俺も、クルー達も元気にしてる。それで、今日は3月9日だろ?だから、俺の船に遊びに来い。ルフィ俺はお前に会いたい。いい返事待ってる。』

そこでメッセージは終わっていた。

みんなルフィに視線を集める。

カチャリ……
静かな船の上に録音スイッチの音が響いた。

「シャンクス―――…」





「…船長どうしたんだ?」

穏やかに揺れる赤髪海賊団の船の上、小さく踞ったシャンクスが、トーンダイアルを握りしめ、プルプルと震えていた。

「あー。あれか?船長、ルフィに断られて凹んでるんだよ。」

帰ってきたトーンダイアルに録音されていたのは、シャンクス。ごめん。行かない。の言葉だった。

たまに、うぅーっと呻き声を発しながらカチャカチャと、何度もトーンダイアルを聴いている。
哀れみを込めた目でクルー達が我が偉大なる船長を見た。

「船長…いい加減元気出して下さいよ…」

時々声を掛けても、うー、と唸るだけで、踞ったままだ。

「船長〜!!」

1人の船員が、何かを持って走って来た。

「トーンダイアルが飛んで来ました!!」

「………誰からだ……」

「麦わらのルフィからです!」

シャンクスは、ばっと起き上がると、物凄い速さでトーンダイアルを奪い、再生を押す。

『シャンクス…俺シャンクスに会いたいよ…でも、さっきも言ったけど、俺は行けない。今あったらシャンクスとの約束と違うだろ?だから、ごめんな……それから――……』

穏やかな日差しが船を包む。

先ほどとは違う理由でプルプル震えているシャンクスに、クルー達は静かに笑いあう。

「お前ら!今日は宴だ!!」

元気を取り戻したシャンクスの声にクルー達は困った船長だと苦笑し、船長の為の宴の準備に取り掛かった。





(…それから―――…誕生日おめでとう。絶対俺、海賊王になって帽子返しに行くからな!シャンクス大好きだ!!)
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