book.2
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目を覚ますと見慣れない真っ白な天井が目に入った。
ここは何処だろうかと辺りを見渡す。
部屋は何処もかしこも白で埋め尽くされていた。
どうやらここは病室のようだ。
俺は窓の外に目を向けた。
外は雨は降っていないものの空はどんよりと厚い雲に覆われている。
まるで今の自分のようだ。
俺はあの日から何も変わってない。ずっと変われないでいる。
俺は小さくため息をついた。
「あ!気が付いたか?」
ぼーっと、外を見ていると、横から声をかけられた。
声のした方に目を向けると、そこには目の下に傷のある黒髪の少年がこちらに笑顔を向けていた。
少年が首の後ろに下げた麦わら帽子を揺らしながら俺が寝ているベッドへ近づいて来る。
「おまえな、雨でスリップした車に突っ込まれたんだ。本当、気が付いてよかった!おまえ2日も眠ってたんだ。」
少年は、よかったよかった、と笑顔で何度も頷いた。
そういえばそうだったな。
確かあの日、小さな祠を蹴って穴を空けてたんだった。
それで、そのあと目の前が真っ白になって…。
そのときから記憶がないから、そこから俺は今まで眠っていたのだろう。
それにしても、俺は2日も寝てたのか…
言葉を返さない俺に心配になったのか、少年が、何処か具合でも悪いのか?っと心配そうに見詰めてきた。
「いや。大丈夫だ。」
正直、事故ったときに出来たのであろう傷が少し痛んだが、今にも泣き出しそうな少年にそれは言えず、誤魔化すように笑顔を向けた。
俺の笑顔に安心したのか、少年はまたにっこりと笑顔になった。
とても愛らしい笑顔だ。
今まで色んな奴を見てきたが、笑顔がこんなにも眩しいと思ったのは初めてだった。
俺は自然とその笑顔に引かれていった。
「あ!そうだ!おまえ名前何て言うんだ?」
「ん?あー、俺か?俺は、エースだ。ポートガス・D・エース」
「エース…うん。エースだな!!宜しくなエース!!」
少年は嬉しそうににっこり笑い、エース、エースと、何度も俺の名前を繰り返す。
そんな姿に俺は自然と顔を綻ばせた。
本当に可愛い奴だな。
そうしていると、ふと、ある疑問が沸々と沸き上がってきた。
「おい。あのさ、今更だが…お前誰だ?」
少年は、あ!っと声を上げ、そういえばまだ名前言ってなかったな、っと、申し訳なさそうに頭を掻いた。
「俺はルフィ。宜しくな。」
少年は、太陽にも負けぬ笑顔でにっこりと笑った。
これが俺とルフィとの出会いだった。