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□悪戯に隠した秘密
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・臨也さん語り




やぁ。

突然だが、今日は1月28日。
何の日かわかるかい?
…やっぱりわかる人もいるんだね。まぁ君達が思ってる通り、今日はあのシズちゃんの誕生日。


…え?なんでいつもあんな喧嘩までしている相手の誕生日を知ってるかって?
そりゃまぁ…企業秘密?

はははっ、冗談さ。
そんなこと言って、変なこと想像されても困る。

まぁ、俺はご存じの通り新宿の情報屋をやってる身であって。その上、あの化け物とは同級生で同じ高校を卒業してる。
そんなわけで、嫌でもシズちゃんの誕生日なんて耳に入ってくるわけ。理解してくれたかい?



でさぁ、あの化け物、ほんのちょっと前まではいっつもひとりぼっちの孤独な存在だったのに、最近は随分人に囲まれるようになったじゃない?
だから、たぶん俺の予想だと、今年の誕生日はたくさんプレゼントを貰うと思うんだよね。


…は?
別に羨ましくなんかないから。変な勘違いやめてくれる?


だから、俺からもプレゼントをあげようと思ってさ。


期待してるとこ悪いけど、時計とか指輪とか、そんな普通な物渡すつもりはないよ?
ははっ、当たり前じゃないか。

じゃあ何をあげるんだって…、まったく…言ったらつまらないじゃない。


…まぁいいや。君達には特別に教えてあげよう。
シズちゃんにはねぇ、俺からとびっきりの嫌がらせをプレゼントをあげるんだ。

ちょっと、やめてくれるかなぁその目。犬猿の仲のシズちゃんにプレゼントをはいどうぞなんてあげるわけないだろう?


俺は俺らしく、ね。


…どんな嫌がらせをするのかは…、秘密。
どうせこの先見てればわかるんだから。

だから、黙ってシズちゃんへの最高のプレゼントを楽しみにしてなよ。








あー…、寒い。
やっぱり1月は寒いねぇ。春はまだまだ来なさそうだ。

今俺は池袋にいる。無論、シズちゃんのこともあるけど、今日はちょっとした取引もあったからさ。

まぁ、その取引の前にシズちゃんに気づかれなかった分、今日は運がいいかな。


さてと、それにしても珍しいな…。あの化け物野郎が、俺の匂いに気づかないなんて。

…よっぽど浮かれてるんだねぇ。きっと。
ムカつく。ムカつくよシズちゃん。つい最近まではひとりぼっちだったのに。




ごめんごめん、余計なことを考えちゃったね。
さて…シズちゃんはどこにいるのか、…



…いたよ。


とりあえず最初から気づかれるのもアレだし、隠れて様子見といこう。

…あ、
なんだっけ、あの子。最近シズちゃんと一緒に働きはじめた子。あぁ、ヴァローナだ。それに茜ちゃん。

ははっ、やっぱり予想通り。
女の子に囲まれて幸せそうに笑って…、


…俺には見せたことないのに。
俺にそんな幸せそうに笑ってくれたことなんか一度もないのに。

ずっと喧嘩を続けてきた俺には見せないで、つい最近知り合ったばかりの女の子には見せるんだね。



…まぁ、当たり前だよね。
シズちゃん、俺のこと嫌いなんだもんね。

あー、ムカつく。イライラする。シズちゃんの性格が移ってきたかなぁ。
もういいよね。女の子もいなくなったし。



「シーズちゃんっ!」

「…手前、こんな日でも出てきて邪魔すんのかァ…?」


怒りに満ちた顔で俺を睨み付けるシズちゃん。さっきまでの笑顔の面影は一切ない。

それでいいんだ。俺に向けられる顔はそれで。


「やだなぁシズちゃん。今日は君の誕生日だろ?だから俺からもちゃんとプレゼントをあげようと思ってさ。」

「プレゼントだぁ?んなもん手前が二度と池袋へ来ねぇっつう契約書しか認めねぇぞ…。」

「はははっ!冗談よしてよ。無理に決まってるじゃない。」


満面の笑みで言葉を返す。それと同時に、俺はシズちゃんのすぐ側まで近づく。



「せっかくのプレゼントだ。受け取ってよ。」


返事を聞く前にシズちゃんの耳に顔を近づけ、前から決めていた皮肉をこめたメッセージを囁く。



「アンハッピーバースディ、シズちゃん。愛してる。」




俺はすぐにシズちゃんから離れる。きっとその言葉に怒り狂ったシズちゃんが、すぐにでも殴りかかってくるだろうと思ったからだ。


「あははっ!俺のこと大嫌いなシズちゃんには最高の嫌がらせだろ?」


さーて、どんな顔して怒ってんのかなぁ?
…って、あれ?
襲ってこない…?

よく目を凝らしてシズちゃんの様子を伺う。

…え、なんで。



なんで、そんな顔真っ赤にしてるの?



「は、ははっ、何その間抜けな顔。まさか本気にしたの?馬鹿じゃない?冗談でもやめてくれない?」


自分でも動揺しているのがわかる。
だっておかしいでしょ?
なんで俺にあんな嘘の告白されて顔真っ赤にしてんの。





まさか、





「うぜぇうぜぇうぜぇうぜぇ…!!」


顔を真っ赤にしたままのシズちゃんがいつもの調子で俺を睨みつける。どうやら元に戻ったらしい。



「じゃあ、俺はそろそろ新宿に戻るよ!バイバイシズちゃん!!」

「待ちやがれ!!今日こそ死ね臨也ぁあああっ!!!」



二人同時に走りだす。

他の人達にはわからないだろうけど、まだシズちゃんの顔は少し赤い。
たぶん、俺の顔も赤くなってる。



だって、さっきの告白は――、




(嘘なんかじゃないなんて絶対言わないから!)
(嘘でも嬉しかったなんて死んでも言わねぇ!)
(くそっ、さっきの出来事全部なければ良かったのに!!)




















*
あれ、シズちゃんのHPBが空気に←
なんか久しぶりに執筆したので、色々ごっちゃごちゃですいません!とりあえずシズちゃんHappy Birthday!!

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