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□ぼくらはほしになる
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・ほのぼの
・ほんのり静臨気味
本格的に冬になってきた11月の中頃の夜。
俺は毎日、寝室にある窓から夜空を眺めるのが日課になっていた。
別に星座に詳しいわけでも無い。いや、詳しくとも、この都会の空では天体観測のようなことはめったに出来ないだろう。
都会の空は暗い。星が現れてもほんの少しである。
そんな都会の夜空を見始めたのは、大した理由では無かった。
ただ、いつかの夜眠れなかった時、なんとなく夜空を見ていたのがいつの間にか日課になっていた、ただそれだけである。
自分でも、こんな暗い空を見ていて、なぜこんな落ち着く感じがするのか分からない。
――でも、今日はなんだかいつもより星が出てるなぁ。
そんな事を思い、そろそろ寝ようかと窓を閉めようとしたときだった。
「いーざーやくんっ!」
俺と同じ声の主に後ろからがばっと抱きつかれる。
「…もう、びっくりするだろサイケ。」
「へへっ、わざとだしね!」
そう無邪気に笑って、ピンクのコードを揺らしながらサイケは俺の隣に来る。
サイケは俺と瓜二つのアンドロイドである。性格は全く違うが。
「あ!今日はお星さま出てるんだね!」
「うん。いつもより、都会の空にしては出てるね。」
「いち、に、さん…、あ、よん!今日は4つ、かな?」
「んー…、そうだね。ここから見える限りは4つ、かな。裏側に行けばまだあるかもだけど。」
そう答えると、サイケは星を見ながら何やらぶつぶつと考えている。星を見据えるピンク色の瞳は、真剣そのものだった。
「よし!決めた!」
「何を?」
「えっと、えっとね、あのお星さまはサイケ!」
一つの星を指を指して、笑いながら言う。そんな事を考えていたのか。
「でね、そのすぐ近くにあるのが津軽!いつも一緒にいたいから、ね!」
そう言って俺に笑顔を向ける。そうだね、と言って笑い返すと、またサイケは笑った。
「じゃあ、あとの二つは誰なんだい?」
「えーと、あっちの左側にいるお星さまが臨也くん!でね、それから、あの近くのお星さまがシズちゃん!」
「え。」
思わず声が出ていた。あまりに意外すぎる人物だったからである。
決して嬉しくはないその答えに、疑問を持たずにはいられなかった。
「…サイケ、なんで俺の近くのお星さまがシズちゃんなんだい?」
「んーとね、なんとなくだけど、シズちゃんが臨也くんを追い掛けてるのに似てるなぁって思って!」
なんとなくわかるような納得できないような微妙な心境だ。なんだか難しい顔をしていると、サイケは一つ付け足した。
「それに、喧嘩するほど仲がいいって言うでしょ?」
「あー…、まぁ…うん…?」
それを果たして俺たちに当てはめていいものか戸惑ったが、まぁいいかと思い、夜空をもう一度眺めた。
「…臨也くん。」
「ん?」
「明日シズちゃんとこ行って津軽に会いたい。」
「…じゃあ、行こうか。明日。」
「うん!それに、」
――臨也くんもシズちゃんに会いたいでしょ?
見透かされたようなその言葉に俺は目を反らすことしか出来なかった。
(じゃあ今日はもう寝よう!)
(そうだね)
(おやすみ臨也くん!)
(…あの星みたいに仲良くできるかなぁ…。)
(臨也くん?)
(あ、あぁ、おやすみサイケ!)
*
ただほのぼのした感じが書きたかったんです←
サイケたん一家に一台ほしいよね←←ぇ
にしても短い…。