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□愛されるいくつかの方法
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・臨也さん総受け





「…波江さーん…」

「何よ。貴方にしては起きるの遅いじゃないの。」

「あのさぁ…なんか熱っぽくてだるいんだよね…」



それは、寒い風が吹き始めた秋のこと。









「…38度7分。」

「うわ、久しぶりに結構な熱出しちゃったねぇ。」


顔ではへらへらしているが、結構キツい。頭痛もひどいし、頭はくらくらしてるし、軽い吐き気もする。


「…波江さん、今日用事入ってたよね。」

「ええ、申し訳ないけど貴方の看病はできないわよ。」

「ちぇ、冷たい人だなぁ波江さんも。」


そう言うと、波江さんは手に持ったビニール袋を俺の目の前に突き出した。


「…?」


疑問に思いながら、その袋を受け取って中身を見ると、市販の風邪薬と冷えピタシートが入っていた。


「…波江さん、これ。」

「熱計ってる間に、急いで買ってきてあげたのよ。感謝してちょうだい。」

「あ…ありがとう。」


意外な心配りに驚きながらも俺は少し笑ってお礼を言う。
そんな俺には目もくれず波江さんはそそくさと出掛ける支度をする。


「悪いけど、お粥とか作ってる暇無いから、後で誰かに作ってもらいなさい。」

「はいはい。」


そう軽く会話を交わすと、波江さんはさっさとマンションを出ていった。
その直後、俺は睡魔に襲われ、気を失ったかのように眠りに落ちた。

どれくらい眠っていただろうか。俺はおでこの辺りに感じる冷たさで目を覚ました。


「ん…、あれ。」

「あ、ごめん起こしちゃった?」


目を覚ました俺の目の前には俺のおでこに冷えピタを貼る新羅がいた。


「…新羅…、なんでここにっていうかどうやって入ったのさ…。不法侵入で訴えるよ。」

「弱っててもそんな事言える君は凄いと思うよ…。君の助手の人がさ、出掛けるついでかな?僕の所まで来て、臨也が風邪を引いたらしいから一応診てやってくれって言いにきたのさ。」

「…へぇ。」

「いい助手を持ったじゃないか。臨也にしては。」


どういう意味だよ、なんて反論していたが、内心驚いていた。まさか波江がそこまでしてくれるとは思っていなかった。


「それにしても、珍しく随分弱ってるみたいだね。薬飲んだ?」

「あー…、そういえば飲んでないや。お粥作ってから飲もうって思ってたら寝ちゃった。」

「駄目じゃないか。ちゃんと飲まなきゃ。さっきお粥持ってきたから食べて、薬飲みなよ。」

「ん、ありがと。」


そう答えてから、新羅が持ってきてくれたお粥を食べて薬を飲んだ。


「放っておかない限り、多分すぐ治るだろうから、ちゃんと安静にして寝てなよ。」

「わかった、ありがとう。」


そう軽くお礼を言われると、新羅はマンションを出ていった。
俺はリビングから寝室へ移動して、ベッドの上に横になるとすぐに眠りについた。





「…っうわ…!?」



眠りについていた俺は、大きな轟音によって、強制的に眠りから起こされた。外からではない。すぐ近くで轟音がした。
嫌な予感が脳裏を過る。

おぼつかない足を動かして恐る恐る寝室のドアを開ける。


「…は…?」


そこには、誰よりも嫌いな宿敵、池袋の喧嘩人形がいた。先程の轟音は恐らく玄関のドアを破壊した音だろう。
なぜここにいるんだ。頭の中はそれだけでいっぱいだった。


「ちょっと…、なんでシズちゃんがここにいるのさ。」

「おい臨也。」


俺の質問には答えずに、シズちゃんは近づいてくる。


「ねぇ、人が病気の時に殺しに来るっていうのは反則じゃ、」

「手前、風邪ひいたんだろ。見舞いに来てやったんだよ。」


俺の言葉を遮って言われたのは意外な一言だった。
は?なんでシズちゃんがお見舞いに来てるの?疑問は募るばかりであった。


「まぁ、意外と大丈夫そうじゃねぇか。」

「…、今は薬が効いてるから。」


そう目を合わさずに言うと、シズちゃんは体の向きを変え、玄関へ向かった。


「それじゃ、邪魔したな。」

「は、はぁ…。」


そう言い残すと、シズちゃんはすぐに居なくなってしまった。



「…なんだったんだ。」


あとドアのこと言うの忘れた、とか考えていたが、睡魔に耐え切れず俺はまた寝室に戻り、眠りについてしまった。




次に俺が目を覚ましたのは、窓の外がすっかり暗くなった夜だった。
随分長く寝ていたようだ。ベッドから降りると、昼間より体が軽い。寝室から出ると、キッチンに誰かがいる。


「…目、覚めましたか。臨也さん。」

「紀田くん、なんでここに。」

「恋人の看病に来てあげたんスよ。ちょっと遅くなりましたけど。」

「そう。」


そう軽く返事をすると、俺はキッチンを覗きに行った。どうやら、夕飯を作ってくれているようだ。


「あ、そういえばドア…。」

「もう直ってますよ。俺が来る前に、帝人と杏里がお見舞いに来たらしくて、その時に業者の人呼んで直してもらったって言ってましたよ。金は臨也さん持ちっスけど。」


せめて直してもらってからねてくださいよ、と注意する紀田くんに軽くはいはいと言うと、今日あったことを色々話した。


「今日さ、なんだかたくさんお見舞いが来たりしてさぁ…波江さんもなんか色々やってくれたし、あと新羅に俺は寝てたけど帝人くんに杏里ちゃん。あと…シズちゃんに紀田くん。」

「…静雄さんがきたんスか?まぁ、大体予想ついてましたけど。」

「本当びっくりしたよ。弱ってるときに殺されるのかと思ったしね。」

「ちょっとは気をつけて下さいよ。」


いつ奪われるかわかんないんですから、そう忠告を受けたが、正直意味はわからなかった。


「まったくさぁ、こんなお見舞い来てくれるんなら、普段から優しくしてくれればいいのにねぇ。」

「本当は愛されてるんスよ、臨也さんは。色んな意味で。」


そう言った紀田くんの顔は、よく見えなかった。
けど、紀田くんは最後にこう付け足した。




――まぁ、一番愛してんのは俺だと思いますけど。



それを聞いて、また少し熱が上がった気がした。





(あれ、臨也さん顔赤いっすよ?)
(…うるさいな)
(嬉しかったんすか?)
(分かってるくせに)
(まぁ、わかってますけどね)
















*
無理矢理落ち((
えっと、匿名の方のキリリクで「臨也さん総受けでできれば正臣くんおち」でした!!すみません、ネタが中々浮かばず無理矢理感が満載な上かなり遅れてしまいました…!
こんなものでよろしければお受け取り下さいませ!もちろん書き直しも受け付けます!
リクエストありがとうございました!

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