short books & pict

□大嫌いを飲み込んで
1ページ/1ページ



・ちょっとシズイザ要素有?







俺はデリ雄。正式名称サイケデリックドリームス静雄。
俺は池袋では有名な、かの平和島静雄をベースとしたアンドロイドだ。
だから、顔も静雄とそのままそっくりの顔をしている。


だからなのか知らないが、好きな奴のタイプも同じなようで。
俺が好きな奴も、静雄の好きな奴と同じ顔をしている。



そして今俺はそいつが住んでいるマンションの一室の前にいる。


「…会ってくれっかな」


実は昨日喧嘩をした。というか、日常茶飯事だし、大したことじゃない。
会うたび会うたび、俺たちは必ず口喧嘩になる。原因はいつも、相手のわがままなのだけれど。
そういう訳で、俺はここまで謝りに来たって訳だ。



「…ったく、ここに来るのも慣れちまったなァ…」


そんなことをぶつぶつ言いながら、インターホンを押す。


『どちらさ…、あぁ、デリ雄か。』

そう声が聞こえると扉の鍵が開く。


「やぁ。いい加減喧嘩するのも程々にしてくれない?」

「そりゃあいつに言ってくれよ。それに、あんたが言える口じゃねぇだろ。」


そう言うと俺はどかどかと中に入っていった。
今いたのは新宿の情報屋、折原臨也。俺の元になった平和島静雄の恋人だ。


「…で、あいつはどこにいんの。」

「昨日から寝室に閉じこもっていじけてる。さっさと仲直りしてあの子どうにかして。」

「はいはい。」


適当に返事をして、俺は寝室へ向かう。扉に手を掛けると、鍵は開いていた。


「日々也、入るぞ。」


返事を聞かずに、俺は扉を開ける。
予想した通り、そこには布団にくるまって背を向ける日々也がいた。

こいつが、俺の恋人。
見た目は臨也と瓜二つ。だが性格は我が儘。なんというか、ガキのわがまま王子さまみたいな感じな奴だ。
素直じゃないし、俺のことを好きと言ったのもほんの数回。
それでも俺はこいつを可愛いと思ってる。多分他の奴らにはわかんねぇだろうけど。


「…おい日々也。」

「…。」

「起きてんのか。」

「…。」


ぴくりと黒髪が動く。おそらく本当は起きているのに、狸寝入りをしているのだろう。
俺はベッドに近づき、そのまま座る。以前として日々也は動かない。


「まだ怒ってんのかよ。」

「…。」

「謝るから許してくれよ。」

「…、黙れ。」



ぼそっと吐き捨てられた一言。
カチンと来た俺は堪らず言い返す。


「…あのなぁ、黙れも何も、元々お前が悪いのに、俺ァわざわざ謝りにここまで来てんの。いい加減にしてくれよ日々也くん。」


そう顔を引きつらせながら言うと、日々也は突然ガバッと布団から出て起き上がると、俺をキッと睨み付けて大声で言った。



「うるさい!!お前が悪いんだ!お前のことなんか大っ嫌いだ!!出てけ!!」



息を荒げながら、出てけ出てけと喚く日々也にため息をつくと、俺はベッドから立ち上がり扉に手をかけた。


「あぁそうかよ。そんなに言うんだったらこっちにだって考えがあらァ。お望み通り出てってやるよ。ただし二度とこれから会うことはねぇからな。」



そう冷たい声色で言うと、じゃあなと告げ、扉を開けようとドアノブに力を入れた。





「…ま、待って」


そう小さな声が後ろからかけられる。ぐいっと引っ張られる白スーツ。
ちらっと後ろを見ると、焦ったような、なんとも言えない顔をした日々也がいた。


「何だよ。出てけっつったのはお前だろ。」

「…っ…」


何か言おうとしているのだが、中々声が出せずに詰まっている。
俺は何も言わずに日々也の口から言葉が発されるのを待った。

しばらく待つと、日々也は少し顔をあげてようやく口を開いた。




「…いか、ないで」



…そんな涙目で言われたら許さざるを得ないだろう。


「じゃあ、ちゃんと謝れ。」

「…ご、めんなさい。」

「よくできました。」


そう軽く笑いながら俺は軽く日々也を抱きしめた。その腕の中で日々也は顔を赤らめながら罵声を吐いていた。



…これだからこいつは嫌いになれない。
どんなに嫌いって言われても、な。






(にしても、お前のわがままの喧嘩もそろそろやめようぜ?)
(そんなもの知らん!)
(…はいはい、仰せのままに。わがまま王子さまっと。)
(ば、馬鹿にしているのか!!)





















*
ただのノロケ\(^O^)/
なんかもっとキュンとする話が書きたかったのに…、力不足です。
この前のデリ誕記念イラストがあまりに可哀想だったので書いたのに…!!
本当デリ雄ごめんなさい。でもわがまま日々也が出せたので良かったです←

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ