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□メルト
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・来神時代
9月の中間。
もうすぐ秋がやってくるというのに、残暑が消える気配は無い。学校の登下校も、少し億劫だ。
暑い下校中、俺はシズちゃんに行った。
「…シズちゃーん…」
「伸ばすな。気持ち悪い。」
「そう言わないでさぁ、俺、アイス食べたい。」
「はぁ?」
「ね、お願い。お金は俺が持つからさ。」
その後、結局2分くらい粘って、下校中に通るコンビニでアイスを買うことにした。
なんやかんやで、シズちゃんは俺に甘い。
しばらく話をしながら歩いていくと、例のコンビニに着いた。俺は汗を拭いながらコンビニに入る。
「シズちゃん何にする?」
「…臨也は」
「俺はー…このバニラバーにする。」
「じゃあ俺このいちごの奴。」
「…本当なんか…、女々しいの選ぶよねシズちゃん。」
面白半分でシズちゃんをからかいながら、二つのアイスを購入し外へ出る。
「はい、シズちゃん。」
「ん。」
シズちゃんのストロベリーアイスを渡し、自分のバニラバーの袋を開けると、すぐに冷たいアイスを口に頬張る。
「…ん、つめたい」
シズちゃんにお願いして良かったなぁなんて考えながら、シズちゃんを横目で見る。
…なんというか、その容姿でストロベリーアイスとかギャップありすぎだよ。
でも、ちょっと…可愛いかも。
とか絶対口では言えないようなことを考えていたら、いつの間にかシズちゃんがこちらを見ていた。
「なんだよ。そんなこっち見て。」
「え、あ、いや」
シズちゃんの顔見て可愛いと思ってたなんて死んでも言えない。
とっさに俺は別の言い訳を探す。
「あ、いや…、そのアイス美味しそうだなって」
「あぁ、そういうことか」
そう言われると俺はすぐに顔を反らす。その内核心を突かれそうだったから。
溶けかけたアイスを口に含もうとアイスを口に運ぶ。
その時、自分じゃない誰かに再び顔を横に向かされる。
一瞬の出来事。口にはストロベリーの甘ったるい香り。目の前には近過ぎるシズちゃんの顔。重なった俺とシズちゃんの唇。
あまりに突然過ぎることに、思考回路が回らない。顔に熱が集まるのがわかる。
そしてすぐに唇は放され、俺とシズちゃんの距離は普通に戻る。
「…な、なにを」
焦りすぎて言葉が見つからない。恥ずかしい。しかもこんなコンビニの前で。
「手前が美味しそうって言ったんだろうが。」
「だ、だからってこんなやり方…!」
真っ赤な顔を下に向けて、精一杯の罵声を吐く。
それでも、俺の心中を見透かす様にシズちゃんは顔を近付けて言った。
「嫌、だったのか?」
俺が反論出来ないのを知ってて、こういうこと言うのは、本当反則だと思う。
(あの時のキスが甘かったのは、)
(きっと、)
(アイスだけのせいじゃなくて)
*
かわず屋様リクエスト、仲良くアイスを食べる静臨です!
ありがち落ちで申し訳ないです…!!しかもいつも以上に短いという…。書いてる途中で甘すぎて喉が渇きました。末永く爆発しろ。
希望に添えられていなかったらすみません!返品可です!
リクエストありがとうございました!!