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□恋涙
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俺の名前はサイケ。正式名称は「サイケデリックドリームス臨也」。
俺は臨也くんが造った、臨也くんをデータベースとしたアンドロイド。

何で俺が造られたのか、それを聞くと臨也くんはいつも新しい仕事の助手が欲しかっただけだよ、と言う。
でも、仕事のことは波江さんって女の人がほとんど片付けるし、臨也くんも、俺に仕事のことを頼むことは無かった。


臨也くんは、前からなにかを隠している。俺は最近、その隠し事が何なのか気になり始めていた。



――俺は、臨也くんが好きだ。

マスターとしてではなく、純粋な恋愛感情として。
アンドロイドである俺が、そんな感情を持つかどうかは知らないけど、俺が知る限り自分の抱くこの感情は恋愛感情だと思う。

大切な、大好きなマスターだからこそ、俺は臨也くんが隠していることを知りたかった。



「ただいま。」

「おかえり臨也くん!」


臨也くんの声が聞こえる玄関へ、俺はピンク色のコードを揺らしながら小走りで向かう。


「今日は早かったね。ご飯は?」

「あぁ、食べてきたよ。」

「そっか。」


俺はにこっと笑うと、リビングのソファーに座る。臨也くんも、遅れて隣に座る。
しばらく仕事の話とかを聞いて、一段落したところで、俺は気になっていたことを口に出した。


「ねぇ臨也くん。」

「ん?」

「…臨也くんは、どうして俺を造ったの?」

「だから、新しい助手が欲しかっただけ」

「でも、臨也くん俺に仕事のこと頼まないじゃない。」


自分の言葉をさえぎられて驚いたのか、臨也くんは俺を見て目を丸くした。
そして、何か諦めたかの様にふっと笑うと俺から顔を背けて言った。


「…、よく気付いたね。いや、俺の嘘のつき方が悪かったかな…。」


そして臨也くんは少し俯いて話しはじめた。

「…今言ったように、新しい助手が欲しかったっていうのは勿論嘘だよ。助手は波江さん一人で十分間に合ってる。でも、もちろんサイケを造った理由は他にある。」


臨也くんはそこで一度言葉を切る。話すのを躊躇っているのかもしれない。
俺は急かさずにそのまま次の言葉を待った。


「…俺は、全ての人間を愛してる。」


そう紡がれた声は、とても小さく、弱々しかった。


「でも、俺は人間から愛されない。どんなにどんなに色々なことをしても、愛されはしない。誰からも。」


少しずつ声に力がこもる。
俺も少しずつ気持ちが高ぶる。



「俺は、誰かに愛されたかった。誰でも良かった。誰でもいいから、俺を愛してくれる人が欲しかった。一方通行な愛だけを叫ぶのは、もう辛かったんだ。だから」

「俺を造った。そうでしょ?」


そう、臨也くんの言葉にかぶせるように言った。その言葉を聞くと臨也くんは固まった。
そして勢いよく顔を上げて、俺を見つめて言った。


「…ごめん、ごめんねサイケ。俺の、ただ俺の心を埋めるためだけに造ったりして、ごめんねサイケ…!」


その顔は、俺でも見たことがないような顔で。
今にも、泣き出しそうな表情だった。



その顔を見た瞬間、臨也くんの頭は俺の胸の中にあった。
反射的に、俺は臨也くんを抱きしめていた。

耐えられなかった。


「…もう、もういいよ…!謝らなくていいよ。怒ってなんかないから…っ」


俺の口からは、焦ったような、自分でもよくわからない声が出ていた。

ただ、自分の好きな人を、守ってあげたいと思った。


「もういいよ、我慢しなくて。俺がいるよ。もう臨也くんは一人なんかじゃない。ちゃんと愛されてるよ。」



――俺は、誰よりも臨也くんを愛してるよ。

そう言われた時の臨也くんの顔は、驚いているようで、それでも嬉しそうだった。


「…ありがとサイケ」



そう言った臨也くんの頬には、温かい雫が伝っていた。

そして、




きっと俺の頬にも、同じ雫が伝っていたのだろう。















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初派生キャラです!
サイケたん大好きなんですが、なんだか想像と違うものになってしまいました←←
多目に見てください!←
こちらの企画に提出させていただきました→

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