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□たくさんの愛に
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・来神時代
・静→→←臨
・シズちゃんが少しおかしいことになってます。






俺には、近頃ある悩みがあった。
その悩みの元凶は、宿敵であり、ある種のストーカーとも呼べる、平和島静雄に他ならない。


俺とシズちゃんが、顔を合わせれば喧嘩をする程の犬猿の仲というのは、来神高校に通う人間であれば知っているのは当たり前のことである。

しかし、そんな来神高校に通う人間であっても知られていないことがあった。
…まぁこちらとしては、知られてしまっては迷惑以外の何物でもないのだが。



「おい臨也。」

「なにさ。」

「好きだ。」

「聞き飽きた。」


誰にも知られていない、いや、知られてはならない事実。

いつも喧嘩の末、シズちゃんに告白をされているということだ。



「…あのさぁ、いい加減にしてくれないかな。こんなことが他の人間にばれたらどうするつもりなの?」

「別にいいじゃねぇか。見せ付けてやれば。」

「冗談じゃないよ。俺はシズちゃんに、これっぽっちも好意なんて抱いてないんだけど?」

「照れんなよ。」

「そろそろ怒るよ?そもそも好きな相手に怪我させようとするなんて、とうとう頭いっちゃった?」

「俺なりの愛情表現だ。」

「気持ち悪。」



本当にこの男はどうかしている。
心の底から身震いした。


「…本当、そろそろやめてくれないと、こっちにも考えがあるから。」


そう冷たく言い放って、俺はシズちゃんに背を向けた。


一体何日、この言葉を聞いているだろう。

―好きだ。―


始めに言われた時も、あまりに突然で。
前触れもなく放たれたその言葉に、俺は戸惑いを隠せなかった。


今は大分この言葉には慣れてしまったが。






学校から帰宅し、一人には少し大きすぎるベッドに腰かける。

俺の悩み、それがいつ解決するのか、それは未だにわからずじまいだ。


…そしてもう一つ。
俺には悩みがあった。

これはきっと、いや絶対に誰も知らない。俺の友人である新羅や、ドタチン、もちろんシズちゃんも知らない。


俺はすぐ側にあった枕を抱いて、顔を埋める。


俺はどうしてこんなにも、素直になれない人間なのだろう。

今まで、たくさんの人間を自分の思い通りに動かしてきた。

それなのに、自分一人思い通りにすることすら、俺には出来ないのか。



「…呆れるね。」


俺は一人そう呟くと、深い眠りに落ちた。



(本当は、)
(君のたくさんの愛に)
(俺のたくさんの気持ちで、)
(応えてあげたいのに)








*
はい!ツキミ様のキリリクで、「来神で静→→←臨」でした!!
なかなかネタが見つからず、三ヶ月以上経ってしまいました…!!
申し訳ございません!!そして短くてすみません…
こんなのでよろしければ受け取ってくださいませ!
リクエストありがとうございました!

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