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□逃げた先には
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……
あれから、数日が過ぎた。

葬式も終わった。
だが、俺はシズちゃんの葬式には行かなかった。

シズちゃんの顔を見るのが、何よりも怖かった。



今は、波江さんには長期休暇をあげている。
俺は、今一人きり。


今の俺の中にある気持ちは、たった一つ。
あの時の自分自身を責める気持ちでいっぱいだった。



「…なんで…。」



なんで、受け入れてあげられなかったんだろう。


あの時、冷静にシズちゃんの終わりを受け入れてあげたら。
『さよなら』って、そう言ってあげられたら。

あんなに、謝らずに、静かに逝くことが出来たのに。
辛い想いをしないで、楽に逝くことが出来たのに。



俺が、あんな風に受け入れられていなかったから。
シズちゃんは不安なまま、俺を残した罪悪感を抱えて、逝ってしまったんだ。


「…くそっ……!」


俺は自分の頭を抱えて顔を歪ませた。
脳裏に浮かぶのは、あの時の悲しそうなシズちゃんの顔。


謝らなきゃいけないのは、今の自分だ。




「ごめ…ごめんねシズちゃん…っ…!」




今は亡き人の名前を何回も呼んだ。
あの人が来るなんてことはない。
声が聞こえるなんてことはない。

そんなことは、知っているけれど。






――謝りたい。

たった一言、『ごめんね』って。
伝えたい。

どうしたら、伝えられるんだろう。
どうしたら…、


死ねば、いいんだろうか。
シズちゃんと同じように、死んだら。
俺はまた、シズちゃんに会えるのだろうか。

会って、その一言を伝えられるのだろうか。



考え直すなんて選択肢は、どこにも無かった。

俺は、つい最近仕事で回収した拳銃を手にとると、それをしばらく見つめ、拳銃を自分の頭に突き付けた。



もし、

もしもシズちゃんに会えなかったら。


これは無駄なことになってしまうのだろうか。



…いや、無駄じゃないか。
もし会えなくても…これは自分への罰になるのだから。

俺は一度満足気に微笑むと、引き金を引いた。





こうして、また一人の人間がこの世を去った。

生きることをやめた先に、何があるかも知らずに。






自分が、己の罪から逃げたことも知らずに。






























*
ふへー…意味わからん。
一ページ目で辛くなって、挫折しかけました←←
ヤンデレとかは別だけど、こういう死ネタ書くのは辛いですねー…。
最後の己の罪は、自己解釈でどうぞ。あえて自分の中での意味は言わないので←
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