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□僕らの愛の確かめ方
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※来神時代
桜の蕾が弾けそうなほどに膨らんだ3月の中旬。
俺は、もうすぐこの来神高校を卒業する。
「…シズちゃん、サボり?」
「…あ?悪いか。」
「悪いなんて言ってないよ。」
やっぱり、いた。
ここは校舎の屋上。
シズちゃんは、こういう天気の良い日、大体昼休みの後の授業はサボって、この陽当たりの良い屋上で昼寝をしている。
俺は、横になっているシズちゃんの隣に、ちょこんと座った。
「…なんか用かよ。」
「用があるわけじゃないけど…。」
「じゃあ、来んなよ。昼寝の邪魔だ。」
いつもなら、笑って受け流すはずのその言葉が、今は妙に心に突き刺さる。
「……そんな、こと」
「……?」
普段は出すことのない、詰まったような声で、俺は言った。
「……そんなこと、言わないでよ…っ…。」
卒業が近づいた3月の始めの頃、卒業式などの行事の話が本格的に出始め、ようやく俺にも卒業するという自覚が出始めた。
最初の頃は、自由になれるという解放感がとても待ち遠しかった。
だが、ここ最近、そんな俺の気持ちに変化が現われていた。
――寂しい――
卒業すれば、俺達はバラバラになって、それぞれ自分の選んだ道を行くことになる。
今まで一緒だった、新羅もドタチンも、
……もちろんシズちゃんも。
憎み、忌み嫌っていた。でも誰よりも愛していたシズちゃん。
日常茶飯事だった殺し合い。
赤点を取ってしまったシズちゃんに、勉強を教えた放課後。
時には、互いの愛を確かめあったり。
……いつの間にか、たくさんの思い出が出来ていた。
卒業したら、
卒業したら、シズちゃんとの関係も、終わってしまうんじゃないかって。
怖くて、仕方なかった。
そんな事を言えるほど、俺は素直じゃなくて。
ずっとずっと、誰にも言えずに、卒業まで一週間を切っていた。
「…臨也……?」
いつもと違う俺の様子に気づいたのか、心配そうにシズちゃんが声をかけた。
「…ごめん。気にしないで。」
弱い自分を隠すように、俺は笑顔でシズちゃんに言葉を返す。
次の瞬間、俺はいつの間にか、シズちゃんの腕の中にいた。
「…何、隠してんだよ。」
「別に、何も…隠してなんかいな」
「じゃあなんで…っ」
シズちゃんは真剣な眼差しで、少し悲しさを交えた表情で言った。
「なんで…、そんな泣きそうな顔してんだよ…。」
―――……え?
何か言葉を返そうとするが、口からは何の言葉も出て来ない。
「辛いことは溜め込まなくていいから…、そんな顔すんなよ…。」
その言葉を聞いた瞬間、俺の我慢していた感情が溢れ、瞳からは滝のように涙が流れだした。
――――…
「…卒業したら俺と離ればなれに?」
「…うん。」
俺が落ち着くと、シズちゃんは俺が隠していた気持ちのことを全て聞いてくれた。
「シズちゃんとの関係も、全部…無くなっちゃうんじゃないかって…」
「はぁ…。」
シズちゃんは、呆れたようにため息をついた。
俺が内心びくびくしていると、シズちゃんが力強い口調で言った。
「卒業したって、俺がいつでもお前の事を見つけてやる。そんで、今と同じようにしつこく追っかけ回してやるよ。…んなこと、やめろって言われたってやめねぇよ!」
そして、最後に穏やかな口調でこう言った。
「…俺がお前のこと、愛してる限りな。……つまりは一生だ。」
シズちゃんの言葉は、他の人が聞けばベタだと感じるような言葉ばかりだった。
だけど、今の俺にとって、それほど嬉しい、それほど救いの言葉は無かった。
「……シズちゃん。」
「あ?」
「…ありがと。」
「…おう。」
俺は簡単にそう言うと、シズちゃんの胸に飛び込んだ。
それに応えるかのように、シズちゃんは俺を優しく抱きしめた。
―――――…
そして、5年が経った今…。
「いぃぃぃざぁぁぁやぁぁぁ!!!!」
「はははっ!ほら、こっちこっち♪」
「待ちやがれノミ蟲!!」
今日も池袋では、いつも通りの殺し合いが行われている。
二人にしか分からない、愛の確かめ方。
二人の愛が続く限り、この日常が終わることはないだろう。
――シズちゃん
――明日も、俺待ってるから。
――ちゃんと、見つけてよね。
*
最後のオチが滅茶苦茶←←
ちょっと臨也さんが乙女ww
来神時代好きだー!!←←