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□二人の境界線。
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「…シーズちゃん♪」
俺の視界の隅に、ひょこっと顔を出す、全身を黒に染めた細身の男。
それを見ただけで俺の思考回路は回らなくなる。
「…………臨也くんよぉ…池袋には二度と来んなって…毎回毎回、言わせんじゃ…ねぇえっ!!!」
その声と共に、俺はすぐ側にあった自販機を臨也目がけて投げつける。
「…だからさぁ、シズちゃんの攻撃パターンって、すっごく単純だから、慣れちゃうと避けるの簡単なの。いい加減学習したら?」
臨也は投げ付けられた自販機をひらりとかわすと、満面の笑顔を貼りつけてナイフを構える。
……どんだけ怒らせれば気が済むんだ、あいつ。
「ほら、こっちこっち!」
「ちょこまか逃げるんじゃねぇ、ノミ蟲っ!!!」
臨也が逃げて、俺が追い掛ける。今日も始まった、喧嘩と言う名の殺し合い。
……けど、なんなんだ?
臨也の動きがいつもに比べてぎこちない。
なんのつもりなんだ?あいつ…。
「おいノミ蟲っ!!手前、なんのつもりなんだよ!!」
「…っはぁ?何言ってんのシズちゃん!ついに頭いかれちゃった?」
「…普段の手前ならっ…」
俺は臨也を路地裏の壁に追い込んで、細い手首を乱暴に掴んだ。
「…こんな簡単に、捕まる訳ねぇだろ…。」
俺は、しぼりだす様に呟いた。
しばらくすると、臨也が静かに口を開いた。
「…シズちゃん、分かってるんでしょ……?」
重々しく、何かを引きずる様な言い方で。
どんな表情をしているかは、俺からは見えない。
「…なに、言って」
「そうやってうやむやにするの、もうやめてよ。」
さっきとは違う、はっきりとした力強い声で臨也は俺の言葉を遮った。
「好きなの。シズちゃんが。どうしようもないくらいっ……」
顔を上げて何とも言えない、辛さや息苦しさ…たくさんの感情が入り混じった表情で俺を見つめる。
何度聞いたかわからないその言葉。
それでも、聞く度に俺はその言葉に圧倒される。
その表情に、思わず俺は言葉を詰まらせる。
「…じゃあ言ってやるよ。気づいてるさ。何度言われたと思ってんだ。」
「…それで?」
俺は、自分の中で一つの覚悟を決めると臨也の紅い瞳を見つめて、口を開いた。
「…それで、いいんだな?」
臨也は一瞬目を見開くと、すぐに微笑を浮かべながら言った。
「…もちろん。」
俺はその一言を聞くと、臨也の頬に手を添えると、顔を近付けた。
それを分かっていたかのように、臨也はゆっくりと目を閉じる。
――二人の境界線まで、あと10p
――二人の境界線まで、あと3p
――二人の境界線まで、あと4o
――二人の境界線まで、あと―…
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サイト名に纏わるお話です。
短い上に意味不明←
しょっぱなから駄文炸裂ですみません(・・;)
精進します…((