short books & pict 2
□強がりは意味をなさず
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・肝試しネタ
・ギャグが主
・静→臨→門
・来神時代
・臨也さんのキャラ崩壊がひどい
すっかり暗くなった道に、薄暗い提灯が頼りなく揺れる。
「ドタチン…、俺が死んだらお姫様抱っこして運んでね。」
「何言ってんだ馬鹿。こんなんで死ぬ奴がいてたまるか。」
「大丈夫だノミ蟲。こんなんで死ぬ前に俺が手前をぶっ殺す。」
俺たちがこんな状況になっているのは、先程臨也が発した、たった一言が原因だった。
季節は夏。
俺たちは近所で行われる夏祭りに来ていた。
岸谷も誘っていたが、用事で遅れるとかなんとかで、とりあえず俺と臨也と静雄で祭りを楽しんでいた。
そんなとき、臨也が一つの看板を目にしたのだ。
「…肝試し…?」
臨也は綿菓子を食べていた口を止め、小さくそう呟いた。それに気づいた静雄が臨也に聞いた。
「あぁ?何言ってんだ。」
「だってほら!あそこに看板あるよ!」
臨也が指をさした方には、確かに肝試しと書かれた看板が立て掛けられていた。
恐らく子供向けだろう。その看板には可愛らしいタッチで一つ目小僧や、普通のノーマルなおばけが描かれていた。
「ねえねえ!肝試しいこ!!」
「はァ!?」
「俺は構わないが、臨也そういう類は苦手なんじゃなかったか?」
「なーに言ってんのさドタチン。素敵で無敵な情報屋の卵の俺がおばけなんかにビビるわけないだろ?」
「どうだかなぁ。」
「まぁ、いいんじゃねぇか。普段見れねぇノミ蟲のアホ面が拝めんなら俺は大歓迎だぜ。」
「はっ、その期待打ち壊してやるよシズちゃん。」
まぁ、なんやかんやで俺たちは肝試しをすることになった。
んで受付で小さな提灯を貰い、受付の係に見送られ――、
今に至る。
「や、やっぱ戻んない?ほら、新羅待ってるかもしれないし…。」
「岸谷には着いたら追っかけてくるよう言ってある。」
「なんだよ。言い出しっぺのくせにびびってんのか?」
「び、びびってるわけないでしょ?こんなの楽勝…、」
とか言って臨也は俺の腕をがっちり組んで離れる様子がないんだが。
臨也が静雄に強がって笑ってみせた瞬間。
勢いよくカラスが草むらから飛び出してきた。
運悪く、臨也の真横から。
「いやあああああああ゛あああああ゛あ゛ああああッ!!!?」
臨也の悲鳴が、静かな道に響いた。
静雄は耳をふさぎ、俺は臨也の腕から逃れられぬまま顔をそむけていた。
「なんだ、カラスか…。」
「なんだ、じゃねぇよ!!鼓膜ぶっ壊すつもりか!?」
「いっ、今のは驚く練習だから!これくらい驚いてあげないと、驚かす側の人が可哀想でしょ?」
二人の言い合いがヒートアップする中、俺は一人黙りこくっていた。
正直言うと、今現在言い合いをしている静雄からの視線が痛い。
「…おいノミ蟲。」
「なにさ。」
「門田から離れろ。」
「はあ?」
まぁ、俺と臨也が腕を組んで(まぁかなり一方的だが)、歩いているのが羨ましくて嫉妬してるのだろう。
仕方ない。さすがにいつも喧嘩している相手にすがりつくほど、臨也のプライドは低くない。
「あー、もううるさいぞお前ら。」
「だってシズちゃんがっ!!」
「んだとコラァ!!」
「あー、はいはい…。」
呆れ笑いを浮かべつつ、半ば強引に臨也を引っ張ってまた歩き始める。
その後、お面を被ったおばけが後ろから追い掛けてきたり、すぐそばの草むらから髪の長い女が飛び出してきたり…。
正直隣で叫ばれる俺の耳がしんどい。
やっと肝試しがもうすぐおわりそうな気配がした。
なんというか…、実際より長く感じた。
「やっと終わりか…。」
「あー、もう疲れちゃったよ俺。心臓止まるかと思った。」
「「それ俺らの台詞。」」
俺と静雄が声をそろえて抗議した直後、
――『大丈夫?』
そう、臨也の後ろから声が聞こえたような、聞こえなかったような。
静かな道に、今夜最大の悲鳴がこだまする。
(その日、)
(心配した新羅が臨也に恐がられ、)
(次の日新羅がひどく落ち込むのは、)
(また別の話。)
*
はい!
音無α様相互記念の「来神で肝試し 静→臨→門」でした!
あれ、なんか違う感じに…。すみません!最後に声をかけたのは遅れてきた新羅だったって話ですww
リテイクもちろん受け付けます!音無α様、本当にありがとうございました!!