短編

□ピンク色の雪
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「おい、起きろ」

 朝になると、俺は圭吾さんの声で起こされた。
 ぼーっとする俺に軽くキスをして、圭吾さんは部屋から出て行く。
 寝起きにキスなんて圭吾さんらしくなくて、ビックリしつつも、嬉しく思いベッドから起き上がった。
 らしくない圭吾さんを不思議に思いながら時計を見る。

 ……え? まだこんな時間?

 それは休日の朝としては起きるのが早い時間だ。圭吾さんはリズムが崩れるとか言いながら、休日も早くに起きたりするが、俺は寝かせておいてもらえるのに、なぜ?
 何か用事があるのかと、考えながらも部屋をでる。

 リビングにつくと、朝食が用意してあった。
 俺は料理をしたことがまったくなく、料理をしたいと言ってもさせてもらえない。(まぁ1度して迷惑をかけたことがあるから仕方ないが……)
 なので、料理はもっぱら圭吾さんがやっている。
 トーストくらいならさせてもらえるけど、それは料理のうちに入らないだろう。
 今朝は和食だった。
 圭吾さんの作る和食は最高だ。とくにきんぴら牛蒡がすごく美味しい。
 この人がこんなに料理が得意だとは、一緒に暮らし初めてから知った。前はいわゆるセフレみたいな関係だったから、そんな手料理とか作ってもらった記憶もないので、最初はかなり驚いた。
 この人にできない事ってないんじゃないのだろうか。

 食べ終わると、出かけるから着替えて来いといわれる。
 どこに行くのかと聞くと無視をされてしまった。こういう時の圭吾さんは何を聞いても無視をするから聴いてもむだだ。
 あきらめて軽くシャワーを浴びて着替える。
 準備が整うと、俺は行き先を告げられぬまま、車に乗せられた。

 さて、何処に行くつもりなのかな?
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