四季鬼【薄桜鬼・LS】

□四季鬼(結納編)
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[千春視点]



箱館の戦が終わって、私はお兄様達と一緒に故郷に戻っていた。


人間との関わりで生じた心の傷は、未来永劫消える事はなく私の心に深く根を下ろしてしまったけど。

それでも、

私にはお兄様達や、愛する千景様がいる。







まぁ・・・。


こんな私の事。今更千景様が貰ってくれるかどうかなんてわからないけど・・・。
















私達、吉備の鬼は他の鬼と血筋が違う。

古い鬼の血。

古来より住み着いていた私達には、他の鬼にはない特殊な能力がある。


その能力が故に・・・

様々に利用され、殺されたりしてきたから今までその能力を隠してひっそりと暮らしてきた。




だけど、

こたびの戦や、人との関わりの中で度々その能力を使って来てしまった。










でも私は・・・後悔などしていない。










自分の体に流れている血がどんなものであれ
大切な誰かを救うことができたのだったら・・・それで。


時々夢に出てくる皆は優しく微笑んでくれる。


だから、それでいいの。

そうだよね?
総司と、土方さん?



私の『夢』に抱かれた彼らは
今、どんな夢を見ているのだろう・・・。


『愛してる』

そう言ってくれてた彼ら。


私は千景様しか愛せないのに・・・それでも私を愛してくれた皆を今でも大切に思ってる。










また。
きっと、会えるから。




そう思いながら、今日も窓の外の瀬戸内の海を見つめるのだった。






・・・・・・・・・・・・・・・・・☆☆・・・・・・・







[千秋視点]







最近・・・

いや、あの戦で千春ちゃんの心が弱ってる。

仕方のない事とはいえ、千春ちゃんのあの儚げな顔。

時折見せる真珠のような涙。

僕にとってキミは、いつも輝くお姫様なんだ。




どうやったら、微笑んでくれるの?

どうしたら・・・『お兄様!』と屈託のない声でいてくれるの?







ただただ僕は・・・キミを愛してる。

キミの憂いを払いたい。


だけど・・・僕は知ってる。

キミの心を溶かしてくれるのは、どんなに頑張っても、



僕たちじゃないってこと・・・。








そんな折、

僕(達)の大っ嫌いなアイツが・・・

正式に千春ちゃんを嫁に貰いたいと結納品を携えてやってきた。



天霧「・・・以上が風間家の目録です。どうぞお納め下さいますよう。」

千冬「・・・あいわかった。」


千冬が目録を納める。

僕と千夏は言ってやりたいことが沢山あったけどこうも正式な形で来られると、反論しがたい。

それに、千冬は仕方ないと思っているのか全く動じない。


天霧「して、千春様は・・・いずこでしょう。」

風間「・・・・・・・・・・・・・。」




本来なら、この場に同席しなければならない千春の不在が、彼らを不安にさせてるようだった。


千冬「ああ・・・申し訳ない。千春は少し・・・寝込んでおりまして、同席させておりません。」


そして千冬は一旦話を切って、風間達に言った。


千冬「なれど。今夜はこちらに泊まって行かれますよう・・・千春の為にも・・・。」





千春ちゃんの病は、僕らではどうしてあげることもできない。

だって。

その病・・・僕たちはどういうものか知っている。

彼女のその傷は・・・深いから、彼女を包み込んでくれる者でなければならない。


身も心も・・・。




風間が・・・それに耐えれるのだろうか?



耐えれないと判断した時は、僕がバッサリ斬り捨てるつもりなんだよね。


それを見極める為、僕らは逗留を促す。



千春を愛するのか・・・それとも。
捨てるのか・・・。







フフフ・・・お前の返答次第では

生きては帰さないよ?














風間千景・・・。























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