MIX 【恋同×王子様】
□好きになってもいいですか? 【第二章】
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[琥珀side]
昨晩、王子様御一行が来られた。
金髪で、青い目。
絵本に出てくるような、とっても素敵な王子様。
私は、なんだかドキドキしてよく眠れなかったよ。
でも、よく考えてみれば・・・裕次お兄ちゃんも同じなんだよね。金髪で碧眼・・・。
見慣れてないのは、あの雰囲気のせいなのかもしれない。
なんといっても、王子様だもんね。
あまりにも早く起きちゃったから、コジロウの散歩に出かけることにした。
裕次お兄ちゃんと一緒にお庭に出て、敷地内を散歩する。
すると・・・。
何処からか、風に混じって桜の花びらが舞い降りてきた。
「ああ、もうそんな時期なんだね。行って見ようか?」
裕次お兄ちゃんは花びらを見つめる私に向かって呟く。
連れて行ってもらった先にあったのは、一面ピンク色した世界。
それが桜だとわかるまでに時間はかからなかった。
「うわーっ、綺麗!!」
いろんな種類の桜の木。
まだ、5分咲きのもの
そろそろ7分咲きのもの
今、盛りに花を湛えるもの
満開を終えて、桜の涙を思わせるような花びらを空に舞わせるもの・・・。
その光景は、涙を心の底から湧き出させる。
こんなに神々しく
こんなに儚いものを私は知らない。
「お兄ちゃん、あのね、私・・・ここでお花見したい。」
この花を愛でて、来年も素敵な花を咲かせて欲しくて・・・。
「わかった。そうしよう?じゃぁ、カナメさんに言わなくっちゃね。」
もっと・・・もっとゆっくり見ていたくなって私はお兄ちゃんにお願いした。
「お兄ちゃん、私、もう少し・・・ここにいてもいい?」
お兄ちゃんは私の頭を撫でて、そのままコジロウの散歩に出かけた。
お兄ちゃんが立ち去った後、私はショールの端と端を掴んで
はためく様にステップを踏む。
昔見た・・・桜の舞。
花のワルツのように。
微笑みながら、
軽やかにくるくる風のように舞う。
私はたくさんの桜の中、ただ一人で
なんの気兼ねも無く
心がフワフワ浮くように
漂う花びら達と踊っていた。
まさか、そんな私を見ている人がいるなんて・・・気づきもせず・・・。
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