MIX 【恋同×王子様】

□好きになってもいいですか? 【第二章】
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[ハリスside]




昨日は、興奮のあまり・・・はっきり言って、ねむれなかった。



琥珀に会えたことも

王子様が、琥珀の手に口付けしたことも・・・。




飛行機に乗っている時に聞かれた事は、

ただ、僕の事をからかうだけではなかったのか?



琥珀を好きだと思うこの気持ちは

誰よりも強いと思ってる。



だけど・・・相手が王子様となるとやりにくい。

なんせ10歳も違うんだよ?



競争になんてなんないじゃないか・・・。





悶々とした気持ちを払うように

朝の空気に混じって

ユウジと琥珀の声が聞こえてきた。



(琥珀・・・起きてるんだ)



自分も、バイオリンの練習でもしようかと起き上がる。




西園寺家には確か、ちょうど見頃の桜があるはず・・・。

気持ちを整えるためにも、そこに行こう。




遠くから、桜の花が僕を呼んでいる。

ハラリ・・・ハラリ・・・。



近づくにつれ、歌が聞こえてきた。



(誰だろう・・・。)



朝の清清しい空気の中

桜色の世界をバックに

愛しい天使が歌いながら踊ってる。




何だか、あまりにも神々しくて近づけない。

僕は天使の歌に合わせてバイオリンを弾いていく。



この音が・・・天使に聞こえますよう



・・・祈りながら・・・。




天使の歌声と踊りを目の裏に焼き付けて弾くと

バイオリンの音色は段々、

ピンク色の世界に溶け込んでいきながら

僕を幻想的な世界に誘う。





ふと見上げると、そこには既に天使はいなかった。

(僕の・・・幻覚?)



だけど、なんだかやめられなくて

僕はいつまでも弾いていた。



・・・琥珀の事を、思い出しながら。



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